<最優秀ファンド賞>「グローバル・フィンテック株式ファンド」、フィンテックの世界的な成長に投資
日興アセットマネジメントの「グローバル・フィンテック株式ファンド」はモーニングスターアワード・ファンド オブ ザ イヤー2017で、国際株式(グローバル)型 部門(対象ファンド数:493本)最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの特徴について、商品開発部シニアマネージャーの千葉直史氏に聞いた。
――ファンドが注目する「フィンテック」とは?
フィンテック(Fintech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、最新の情報技術を活用した新たな金融サービスという、非常に幅広い概念だ。ありとあらゆる経済活動の背景にはお金が流れており、グローバルで巨大な産業に育つ可能性がある。
当ファンドは、フィンテックの成長を支える3つのドライバーに注目している。ひとつは、「ミレニアル世代」という米国で1980年−2000年頃に生まれた世代。彼らは、銀行なども窓口へ行くより、インターネットで利用することを好む。この世代に支持されるサービスであること。
また、民泊やタクシー配車サービスに代表される「シェアリングエコノミー」。個人と個人をつなげて、サービスと対価のやり取りをする新しいビジネスは、フィンテックがなくては成立しない。
そして、「新興国」だ。従来の銀行の支店等ではカバーできない幅広い地域において情報技術を使って金融サービスを届けるなど、先進国とは違う形でフィンテック市場が成長している。
――運用体制は?
当社の米国拠点が運用を担当しているが、銘柄選択は、アーク・インベストメント・マネジメントの助言を受けている。
アーク社は「破壊的イノベーション」に集中して調査を行っている。銘柄選択のプロセスは、ベンチャーキャピタルに近い。アナリストは、銀行や証券という金融機関からではなく、IT企業の集積地であるシリコンバレー出身者が大半を占める。
また、「金融」「テクノロジー」などの業種に分かれて担当する体制ではなく、「フィンテック」「ロボティクス」などテーマごとに担当を置き、「AI(人工知能)」「ブロックチェーン」など、サブテーマにスペシャリストを配置することで、伝統的な運用調査会社ではできない関連銘柄をカバーしている強みがある。
そして、アナリストはモバイル決済市場成長予測やブロックチェーン市場成長予測など、テーマに関連した多様な論文を公表し、その論文に対する外部からのフィードバックをもらうことで見通しの精度を上げるオープンソースの考え方によって分析力を強化している。アーク社の調査スタイルは、当ファンドの運用に有効に機能していると思う。
――前年のトータルリターンは46.44%とカテゴリーでトップ1%ランクの成績だった。今後の運用は?
フィンテック市場は、中・長期的に大きな発展の可能性がある。たとえば、ケニアでは銀行口座の保有率は低いのに対して、携帯電話の普及率は相対的に高く、携帯電話のショートメール機能を使って、電子マネーをやり取りするサービスが普及した。現在では給与や公共料金の支払い等、このショートメールで送金できる電子マネーを用いて、既にGDP(国内総生産)の半分程度の金額が決済されている。一方、アメリカでは商品を持ち出すだけで決済が完了する「レジのないコンビニ」が実用化されるなど、従来の買い物の概念を覆す新しい体験としてフィンテック技術が応用されている。
フィンテックは地域によって発展の事情が異なるが、世界的に利用が広がっている。未だに、世界で決済の80%は現金が使われているので、数年のうちに法人・個人を問わず、デジタル決済を皮切りに、多様なフィンテック技術を活用した新しいビジネスが大きな市場を形成するだろう。
成長企業の株価はバリュエーションが高いが、ここで重要なのは、その高いバリュエーションが何によってもたらされているかだ。アーク社では、企業が将来の事業機会に対して適切な投資活動を行っているかを重要視しており、そのような企業はバリュエーションが高いと評価されることが多い。単に投資家からの期待で高いバリュエーションがついている企業と、将来のイノベーションに積極的に投資を行っている企業とでは、長期的なパフォーマンスは大きく異なると考えている。たとえば、Amazonなどは、創業以来一貫して指標の上では割高と言われる水準であるが、積極的な投資活動により巨大企業となった今なお大きく成長し続けている。フィンテック関連銘柄の成長力をしっかり評価し、中長期で高いリターンが届けられるようにしたい。
提供:モーニングスター社
――ファンドが注目する「フィンテック」とは?
フィンテック(Fintech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、最新の情報技術を活用した新たな金融サービスという、非常に幅広い概念だ。ありとあらゆる経済活動の背景にはお金が流れており、グローバルで巨大な産業に育つ可能性がある。
当ファンドは、フィンテックの成長を支える3つのドライバーに注目している。ひとつは、「ミレニアル世代」という米国で1980年−2000年頃に生まれた世代。彼らは、銀行なども窓口へ行くより、インターネットで利用することを好む。この世代に支持されるサービスであること。
また、民泊やタクシー配車サービスに代表される「シェアリングエコノミー」。個人と個人をつなげて、サービスと対価のやり取りをする新しいビジネスは、フィンテックがなくては成立しない。
そして、「新興国」だ。従来の銀行の支店等ではカバーできない幅広い地域において情報技術を使って金融サービスを届けるなど、先進国とは違う形でフィンテック市場が成長している。
――運用体制は?
当社の米国拠点が運用を担当しているが、銘柄選択は、アーク・インベストメント・マネジメントの助言を受けている。
アーク社は「破壊的イノベーション」に集中して調査を行っている。銘柄選択のプロセスは、ベンチャーキャピタルに近い。アナリストは、銀行や証券という金融機関からではなく、IT企業の集積地であるシリコンバレー出身者が大半を占める。
また、「金融」「テクノロジー」などの業種に分かれて担当する体制ではなく、「フィンテック」「ロボティクス」などテーマごとに担当を置き、「AI(人工知能)」「ブロックチェーン」など、サブテーマにスペシャリストを配置することで、伝統的な運用調査会社ではできない関連銘柄をカバーしている強みがある。
そして、アナリストはモバイル決済市場成長予測やブロックチェーン市場成長予測など、テーマに関連した多様な論文を公表し、その論文に対する外部からのフィードバックをもらうことで見通しの精度を上げるオープンソースの考え方によって分析力を強化している。アーク社の調査スタイルは、当ファンドの運用に有効に機能していると思う。
――前年のトータルリターンは46.44%とカテゴリーでトップ1%ランクの成績だった。今後の運用は?
フィンテック市場は、中・長期的に大きな発展の可能性がある。たとえば、ケニアでは銀行口座の保有率は低いのに対して、携帯電話の普及率は相対的に高く、携帯電話のショートメール機能を使って、電子マネーをやり取りするサービスが普及した。現在では給与や公共料金の支払い等、このショートメールで送金できる電子マネーを用いて、既にGDP(国内総生産)の半分程度の金額が決済されている。一方、アメリカでは商品を持ち出すだけで決済が完了する「レジのないコンビニ」が実用化されるなど、従来の買い物の概念を覆す新しい体験としてフィンテック技術が応用されている。
フィンテックは地域によって発展の事情が異なるが、世界的に利用が広がっている。未だに、世界で決済の80%は現金が使われているので、数年のうちに法人・個人を問わず、デジタル決済を皮切りに、多様なフィンテック技術を活用した新しいビジネスが大きな市場を形成するだろう。
成長企業の株価はバリュエーションが高いが、ここで重要なのは、その高いバリュエーションが何によってもたらされているかだ。アーク社では、企業が将来の事業機会に対して適切な投資活動を行っているかを重要視しており、そのような企業はバリュエーションが高いと評価されることが多い。単に投資家からの期待で高いバリュエーションがついている企業と、将来のイノベーションに積極的に投資を行っている企業とでは、長期的なパフォーマンスは大きく異なると考えている。たとえば、Amazonなどは、創業以来一貫して指標の上では割高と言われる水準であるが、積極的な投資活動により巨大企業となった今なお大きく成長し続けている。フィンテック関連銘柄の成長力をしっかり評価し、中長期で高いリターンが届けられるようにしたい。
提供:モーニングスター社