健康でアクティブな老後生活には意外とお金がかかる=三井住友トラスト・AM会長のセマイヤ氏が講演
三井住友トラスト・アセットマネジメントの取締役会長のデービッド・セマイヤ氏は12月9日、東京で開催した「コアラップ」保有者を対象としたSuMiTAM投資セミナーで講演し、「人生100年時代に向けた欧米の個人投資家の資産形成」をテーマに語った。今年10月に三井住友信託銀行の資産運用部門と統合新発足した同社の会長に就いたセマイヤ氏が講演会に登壇するのは初めて(5日に大阪にて同様のセミナーを開催)。セマイヤ氏の実体験に基づいた話に、約100名の来場者は興味深く聞き入っていた。
セマイヤ氏は、1980年代の日本に留学生としてやって来て日本語と政治学を学び、日本の証券会社に入社し、その後、米メリルリンチ証券、英バークレイズ銀行で、東京と米ニューヨークや英ロンドンを跨いで勤務し、2014年から日興アセットマネジメントの会長。そして、この10月から三井住友トラスト・アセットマネジメントの会長に就任した。「31年間、金融ビジネスに携わり、個人的には16歳の時に初めて投信を購入して以来、40年間の投資家として感じる資産運用についてのポイント」を語った。
まず、「人生が長く、セカインドライフにはお金がかかるため、その準備をしておくことが重要」ということ。また、「低金利の日本では、キャッシュはキングではなく、資産に働いてもらうという考えが必要だということ」「複利の力を利用すること」「投資プランを作って、家族と共有すること」「グローバルで分散投資すること」「価格変動を怖がらないこと」そして、「途中で止めないで、参加し続けることが大事」と語った。
その後、Q&A形式で自身の体験に基づいて資産運用のポイントを具体的に解説した。たとえば、16歳で投資を始めたきっかけは、「15歳の時からアルバイトをはじめ、その職場にいた60代の人のところに証券会社から良く電話がかかってきて株式の売買をしていることを見聞きして興味を覚えた。18歳になるまで証券総合口座を持てないのだが、保険の販売員の人の話を聞いてアルバイトで貯めたお金で投信(ミューチュアル・ファンド)を購入したのが最初。その後、大学で個別株を購入したが、初めて買った株では損をして、分散が大事なことを思い知った」と語った。
リーマンショックの時の下落には、さすがに耐え切れずに投資資産を全て売却したという。「バークレイズに務めていた時にリーマンショックに遭遇した。欧米の銀行は、給与の7割がボーナスとして年1回支払われ、しかも、ボーナスの半分が自社株になっている。リーマンショックの時には、バークレイズの株価は10分の1になって、目の前が真っ暗になったのを覚えている。この時は周囲から心配の声ばかりが寄せられたので我慢しきれずに、投資資産の全てを売却してしまった。3年後に投資を再開したが、その時に思ったのは、もう少し我慢して持ち続ければ良かったということだ」と、失敗談を語った。
そこで学んだことは、「株式市場にはアップダウンがあるので、適切なリスクを取るということだ。たとえば、アメリカには、株式の保有割合は、『100マイナス自分の年齢』という考え方がある。50歳の人は、50%はリスク資産に投資し、年齢が上がるごとに、少しずつリスク資産の割合を減らしていくという考えだ。NISAなど税制に有利なプランを利用することも大事」とした。
そして、なぜ資産運用が必要なのかということを、自身の両親の現在を引き合いに出して説明し、「セカンドライフは、健康で過ごすこととともに、コンテントメント(充足感)も大事。朝から晩まで自宅でテレビを観て過ごしては、面白い1日とはいえないし、健康的でもない。両親は現在85歳と84歳だが、現役時代にはパソコンを触ったこともなかった。リタイヤして近くの高校でパソコンの操作の仕方を学び、今ではSNSが楽しみになっている。週に3回はジムに通い、教会でボランティアの仕事をし、旅行も楽しんでいる。父親はがんを患って手術もした。このようにアクティブな老後を過ごすには、お金が必要。日本でもゆとりある老後には、年金以外の蓄えが必要だと良くいわれるが、実際に老後の生活を健康に過ごすには、資産を老後に残しておくことが大切だ」と語っていた。
最後に、「資産運用のプランを作って、5年に1度はプランの見直しをしたい。そして、この資産運用プランについては、家族と一緒に考えることが大事だ。子どもに自分の財産をどこまで伝えるのかということは、それぞれに判断があると思うが、資産運用について家族と語り合う機会を持つことは大事なことだと思う」と伝えていた。
提供:モーニングスター社
セマイヤ氏は、1980年代の日本に留学生としてやって来て日本語と政治学を学び、日本の証券会社に入社し、その後、米メリルリンチ証券、英バークレイズ銀行で、東京と米ニューヨークや英ロンドンを跨いで勤務し、2014年から日興アセットマネジメントの会長。そして、この10月から三井住友トラスト・アセットマネジメントの会長に就任した。「31年間、金融ビジネスに携わり、個人的には16歳の時に初めて投信を購入して以来、40年間の投資家として感じる資産運用についてのポイント」を語った。
まず、「人生が長く、セカインドライフにはお金がかかるため、その準備をしておくことが重要」ということ。また、「低金利の日本では、キャッシュはキングではなく、資産に働いてもらうという考えが必要だということ」「複利の力を利用すること」「投資プランを作って、家族と共有すること」「グローバルで分散投資すること」「価格変動を怖がらないこと」そして、「途中で止めないで、参加し続けることが大事」と語った。
その後、Q&A形式で自身の体験に基づいて資産運用のポイントを具体的に解説した。たとえば、16歳で投資を始めたきっかけは、「15歳の時からアルバイトをはじめ、その職場にいた60代の人のところに証券会社から良く電話がかかってきて株式の売買をしていることを見聞きして興味を覚えた。18歳になるまで証券総合口座を持てないのだが、保険の販売員の人の話を聞いてアルバイトで貯めたお金で投信(ミューチュアル・ファンド)を購入したのが最初。その後、大学で個別株を購入したが、初めて買った株では損をして、分散が大事なことを思い知った」と語った。
リーマンショックの時の下落には、さすがに耐え切れずに投資資産を全て売却したという。「バークレイズに務めていた時にリーマンショックに遭遇した。欧米の銀行は、給与の7割がボーナスとして年1回支払われ、しかも、ボーナスの半分が自社株になっている。リーマンショックの時には、バークレイズの株価は10分の1になって、目の前が真っ暗になったのを覚えている。この時は周囲から心配の声ばかりが寄せられたので我慢しきれずに、投資資産の全てを売却してしまった。3年後に投資を再開したが、その時に思ったのは、もう少し我慢して持ち続ければ良かったということだ」と、失敗談を語った。
そこで学んだことは、「株式市場にはアップダウンがあるので、適切なリスクを取るということだ。たとえば、アメリカには、株式の保有割合は、『100マイナス自分の年齢』という考え方がある。50歳の人は、50%はリスク資産に投資し、年齢が上がるごとに、少しずつリスク資産の割合を減らしていくという考えだ。NISAなど税制に有利なプランを利用することも大事」とした。
そして、なぜ資産運用が必要なのかということを、自身の両親の現在を引き合いに出して説明し、「セカンドライフは、健康で過ごすこととともに、コンテントメント(充足感)も大事。朝から晩まで自宅でテレビを観て過ごしては、面白い1日とはいえないし、健康的でもない。両親は現在85歳と84歳だが、現役時代にはパソコンを触ったこともなかった。リタイヤして近くの高校でパソコンの操作の仕方を学び、今ではSNSが楽しみになっている。週に3回はジムに通い、教会でボランティアの仕事をし、旅行も楽しんでいる。父親はがんを患って手術もした。このようにアクティブな老後を過ごすには、お金が必要。日本でもゆとりある老後には、年金以外の蓄えが必要だと良くいわれるが、実際に老後の生活を健康に過ごすには、資産を老後に残しておくことが大切だ」と語っていた。
最後に、「資産運用のプランを作って、5年に1度はプランの見直しをしたい。そして、この資産運用プランについては、家族と一緒に考えることが大事だ。子どもに自分の財産をどこまで伝えるのかということは、それぞれに判断があると思うが、資産運用について家族と語り合う機会を持つことは大事なことだと思う」と伝えていた。
提供:モーニングスター社