新興左派のメキシコ新大統領就任、低迷するメキシコ関連ファンド再浮上なるか?

 メキシコで新興左派政党「国家再生運動」のロペスオブラドール大統領が12月1日に新大統領に着任してから10日が経過した。公約としていた首都郊外での新空港建設中止を10月に発表したことは経済界にショックを与えた。結果、海外への資金流出が発生し、2018年9月末から11月末までの2か月間で同国のメキシコボルサ指数は15%以上値下がりする展開となった。通貨も対円で7%以上メキシコペソ安が進んだ。

 12月に入って以降は、3日に空港債券の元本の損失を出さないように配慮する姿勢を示したことで小康状態となっているものの、今後の動向が気になる投資家も多いと思われる。

 ファンド名に「メキシコ」を含む関連ファンドは国内公募株式型投信では2018年11月末時点で53本が存在し、残高も計1000億円を超えている。一方で53本の内訳は9本が債券ファンド、3本が株式ファンド、41本が通貨選択型ファンドとなっている。しかし、メキシコ関連ファンドを取り巻く状況は厳しい状況であり、モーニングスターレーティングを付与された49本の中で全てのファンドは2018年11月末現在で5段階で最も低いパフォーマンスの1ツ星、もしくは2ツ星となっており、全てのファンドが3ツ星以上であった3年前の2015年11月末とは大きく異なる状況となっている。

 この背景として、2015年−2016年の新興国ショックの際にメキシコペソの通貨安が進展し、その後メキシコに対する厳しい政策を主張した米トランプ大統領の登場によって上昇する機会を失ったことなどが考えられる。直近の厳しいパフォーマンスを受けて2016年1月を最後に新規設定ファンドは1本もなく、2014年1月以降2018年11月末までに12本のファンドが償還しており、今後5年以内に約半数の26本のファンドが満期を迎える状況となっている。

 しかし、メキシコを取り巻く状況については改善の兆しもある。2017年11月に6.63%となっていた物価上昇率は2018年11月には4.72%まで低下し、安定してきた。また、2017年4−6月期〜2018年1−3月期まで1%台であったGDP成長率(年率)は直近で2018年4−6月期、7−9月期ともに2.5%以上となるなど改善しており、運用成績の改善につながるか注目される。
提供:モーニングスター社
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