株式投資新時代のキーワードは「選択」=東京海上アセットマネジメント

 東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長の平山賢一氏は、今年1月に開催された個人投資家向けのセミナーで、「これからの株式投資では『選択』が重要になる。何を買っても株価が上がる時代ではない。成長企業の見極めが重要だ」と語った。平山氏の講演の要旨は、以下の通り。

<振り子で考える現代社会>

 「振り子」で考えると現代の社会は分かりやすい。世の中は、数十年単位で振り子が右に行ったり左に行ったり、これを繰り返している。

 振り子が右に行くと国同士の仲が悪くなり、左に行くと平和・協調の時代になる。左に行くほど安定し、投資で儲けやすいといえる。

 これまでを振り返ると、1920年代は振り子が左になり、第一次世界大戦の後の時代は株価が上昇した。その後の1930年−40年代は振り子が右側で戦争の時代になった。50年代−60年代は振り子が左側で、アメリカの出生率が上がるベビーブーマーの時代になった。日本はこの頃に団塊の世代が生まれ、高度成長を迎える。この時、アメリカの株価は66年にかけて上昇した。

 そして、70年代は対立の時代になる。ニクソンショック、オイルショック、中東戦争が起こった。この間はアメリカの株価指数が横ばいだった。横ばいは悪くないと感じるかもしれないが、インフレ率10%超えていたため、株価が上がっていないので実質的に目減りした状況だった。

 1980年代−90年代は、株価が20年間上がり続ける良い時代がきたが、2000年3月をピークにITバブルが発生して、振り子が右側に向かう。3年連続で株価が下落し、2001年9月11日に同時テロも起こった。

 現在は、米中貿易戦争、ヨーロッパで移民排斥運動、ブレグジットもあり、振り子が右側にある。金融市場は荒れやすく、ジェットコースターのような相場になりやすい。

<世界の中央銀行が金融市場を揃って支える時代が終わった>

 リーマンショックから世界の中央銀行がマーケットにお金を入れ、マーケットは、その恩恵を受けてきた。ところが、中央銀行による全面サポートの時代は終わった。アメリカは金融緩和を止めて、金利も上げた。時代が変わった。

 戦後の1950年からこれまで、日本の資産運用で最も良かったのは定期預金だった。預金金利は年5%くらいの時もあった。過去68年間で42年間は預金金利がインフレ率を上回っていた。2000年代になるとインフレ率がマイナスになり、預金のゼロ%金利でもインフレ率に勝っていた。預金の金利とインフレの差が大事だ。

 ところが、2013年から6年連続で物価の上昇率が高くなった。金利はゼロのままなので、預金金利がインフレ率に負けている。これは、年金をはじめ、様々なことがこれまでとは異なっていることを意味している。

<この難しい時代に、株式運用で必要になる「選択」>

 「この不安定な時に株を買っていいのか?」。国際環境が悪く、市場が不安定化している。このような時に、投資家も悩むが、それ以上に企業経営者が悩む。非常に困難な環境を迎えているからこそ、経営者の真価が問われる。経営者の能力の差が表面化する。ダメな経営者は、良い業績が出せない時代になっている。

 2017年は株価が大きく値上がりしたが、東証1部2100社のうち、株価が下落している企業もある。20−40%上昇が中央値だった。反対に、2018年は中央値がマイナス12.2%。しかし、株価が20%以上値上がりしている企業もある。投資家は、ダメな経営者と希望の星を峻別する選択が大事になる。

 株式投資は全体に投資する時代ではない。経営者を選択する姿勢が問われている。

 経営者には4つのタイプがある。(1)数多くの企業を渡り歩いている経験豊富な専門経営者(2)創業者として経営に携わっているオーナー経営者(3)大株主の意向で選ばれ大株主の言うことにばっかり従っている経営者(4)社内で可もなく不可もなくやってきたサラリーマン経営者――この中で、大株主に選ばれた経営者とサラリーマン経営者には投資しないようにしたい。

 オーナー経営者は資本主義の原点だ。オーナー経営者は、自分の資金を投資している。自分でリスクを取っているのだ。短期で儲かれば良いということではなく、長い期間、一生懸命、景気に関わらず増益にしようとする。オーナー経営者は責任感を持って長期の視点で経営する。それだけ、難しい時代でも頼りになる。

 もちろん、オーナー経営者、専門経営者でも選ばなければならない。選択が重要だということを意識して、これからの資産運用に取り組んでいただきたい。
提供:モーニングスター社
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