ユナイテッド・アーバン投資法人、総合型リートとして幅広い物件の取得・入替を通じて投資主利益の向上図る

 ユナイテッド・アーバン投資法人を運用するジャパン・リート・アドバイザース取締役チーフ・フィナンシャル・オフィサーの夏目憲一氏は、3月開催のIRセミナーにおいて、同リートの特徴と運用状況について説明した。同リートは、総合型リートとして幅広い不動産に投資できる特性を生かし、ポートフォリオの質的改善および収益性の向上により、中長期的な投資主利益の向上に努めている。夏目氏の説明の要旨は以下の通り。

<ユナイテッド・アーバン投資法人の概要と特質>

 当リートは、2003年12月に東証に上場しました。総合型リートとして、地域としては北海道から沖縄まで、用途としてはオフィス、住宅、ホテル、物流、結婚式場まで、幅広い不動産を投資対象としています。また、合併効果等による内部留保を保有しています。スポンサーは大手総合商社の丸紅です。上場時の資産規模は600億円でしたが、現在では約6300億円になっています。

 ポートフォリオの内訳は、用途別に商業30%、オフィス30%強、残る三割強がホテル、住居、物流施設等を含むその他です。地域別には首都圏が3分の2近くを占めます。全国に120物件を保有していますが、特定物件への依存度が小さく、運営の安定度を高めています。

 総合型リートのメリットは、投資先の地域・用途を分散することにより、特定の地域・用途への集中リスクを軽減できることです。たとえば、Eコマースの発展によって商業施設の経営が厳しい一方で、インバウンドでホテルが30年来の好況です。ポートフォリオの中で調子が悪いセクターがあっても、他のセクターでカバーすることが可能です。また、幅広い不動産を投資対象とする結果、物件取得機会が多くなります。

 当リートは合計127億円という半年分の純利益を上回る内部留保を持っています。リーマンショック後の2010年当時、NAV(純資産総額)割れしていたリートを当リートが吸収合併した際、合併差益(負ののれん)が発生し、これをそのまま内部留保しました。また、税会不一致や圧縮記帳を利用し、利益の繰延べを行っています。こうして蓄積された内部留保については、増資の際の希薄化対策、短期的に売却損が出た場合の配当への充当、減損対応等、中・長期的に投資主の利益を高めるべく活用することを考えています。

 スポンサーの丸紅は不動産開発の他、電力や保険等の関係会社を含め、物件運営に貢献しています。また、商社の強みである情報ネットワークから物件やテナントの生きた情報が入ってきます。このようなスポンサーのサポートを受け、当リートはデベロッパー系リートとは一味違うユニークな運営を行っています。

<外部成長−物件入替え>

 当リートでは、継続的な物件取得に加え、物件入替えを通じてポートフォリオの質的改善および収益性の向上に取り組んでいます。

 昨年5月、熊本県にあるイオンモール宇城と東京都目黒区の碑文谷ショッピングセンターの売却を決定しました。いずれも昨今売上不振が指摘されるロードサイド型商業施設です。物件を売却すれば賃料収入がなくなりますので、売却代金の再投資により賃料収入の回復を早期に図る必要があります。幸い、1年程で6物件約290億円の物件取得が決まり、賃料収入面でも売却分を上回る水準まで回復する目途が立ちました。現在の市況を捉えた今回の物件入替えにより、将来に懸念のあるロードサイド型商業施設がポテンシャルの高いホテルや都市型商業施設に置き換わりました。また、築年も大幅に若返っています。更に、売却益を3期にわたって計上し、分配金を嵩上げするとともに、売却益の六割を内部留保し、リスク耐性の強化も実現しました。

<中・長期的な投資主利益の向上をめざして>

 当リートは、資産価値および収益性の向上をめざし、戦略的投資を行っています。ロビー等の共用部分のリニューアル、旺盛なオフィスニーズに応えるべく貸会議室を貸オフィスに転換する等、物件の特性に応じたバリューアップ工事を実施しています。さらに、継続的な物件運用コストの削減にも努力しています。

 財務運営は、資金調達手段の多様化等により金利コストの低減を進めるとともに、LTVコントロール等、強固な財務体質構築を図っています。

ESG(環境・社会・ガバナンス)についても注力しており、PRI(責任投資原則)への署名、ISO認証の取得、さらに地域社会への貢献にも取り組んでいます。

 引き続き、中長期的視点から外部成長、内部成長、財務運営、ESGの各分野で課題にチャレンジし、投資主利益の向上を図っていきたいと考えています。
提供:モーニングスター社
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