「eMAXIS Slim 新興国株式」が第5位に=ネット証券の投信積立契約件数ランキング20年11月
大手証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、20年11月)でトップ3には変動がなかった。総合1位が不動の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で、第2位が「ひふみプラス」、第3位は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で、9月以来3カ月連続で変わらない。ランキングに入った銘柄の顔ぶれに変化はなかったものの、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」が前月の第8位から第5位にジャンプアップした。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
「eMAXIS Slim 新興国インデックス」は、11ポイントを獲得して第5位になった。前月の獲得ポイントは7ポイントで、それ以前には2−4ポイントしか獲得できずにトップ10にすら入ることができなかった。それが、第5位にまで順位を上げることができたのは、やはり、同ファンドのパフォーマンスの回復にあると考えられる。
新興国株式インデックスファンドは、過去10年ほどを振り返ると、先進国株式インデックスと比較して劣後するパフォーマンスが続いていた。この10年間のスターは、「S&P500」に代表される米国株式指数といえ、米国株の上昇によって先進国株式指数も高いパフォーマンスを残してきた。
実際の数値を振り返ると、「S&P500(配当込み、円ベース)」の過去10年間(年率)のトータルリターンは16.09%に達する。これに引っ張られて、米国株式の組み入れ比率が約70%である先進国株式指数「MSCIコクサイ(除く日本)(配当込み、円ベース)」は12.53%、そして、米国株式の組み入れ比率が56%の全世界株式指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円ベース)」は11.44%だった。ところが、新興国株式指数である「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円ベース)」は5.64%だった。S&P500と比較すると3分の1の水準だ。
新興国株価指数の低迷の原因は、指数構成比で40%程度を占める中国株式の不振といえる。2015年6月に始まった「チャイナ・ショック」では、2008年のリーマンショック後、4兆元規模の景気刺激策を打ち出すことで世界経済のけん引役を担ってきた中国が、過去1年間で上海総合指数が約2.5倍(2000ポイントが5178ポイント)になるという株高から、2カ月間で45%も下落する試練に直面した。その後は、米中貿易摩擦の激化などもあって中国株価は、概ね横ばいの動きを続けてきた。
しかし、コロナショック以降、世界でいち早く感染封じ込めに成功した中国は、世界中が大幅なマイナス成長となる2020年も経済成長率がプラス圏を維持、2021年は一段と成長力を増す見込みだ。再び、リーマンショック後のような世界経済のエンジンとしての期待が高まっている。株価もその期待を背景に上昇基調にある。
新興国株式指数は、トータルリターン5年(年率)、同3年(年率)でも、先進国株式指数に劣後した。5年(年率)は先進国の6.11%に対し新興国は5.58%、3年(年率)は、先進国の4.61%に対し、新興国は0.28%だ。特に過去3年間の新興国株式インデックスのパフォーマンスは悪かった。ところが、過去1年間でみると、先進国株式の1.95%に対して新興国株式は5.97%と逆転する。このようなパフォーマンスの好転が、積立契約ランキングにも表れてきたと考えられる。依然として米国株価の上昇は続いているが、久しぶりにパフォーマンスが改善している新興国株式にも注目したい。
提供:モーニングスター社
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
「eMAXIS Slim 新興国インデックス」は、11ポイントを獲得して第5位になった。前月の獲得ポイントは7ポイントで、それ以前には2−4ポイントしか獲得できずにトップ10にすら入ることができなかった。それが、第5位にまで順位を上げることができたのは、やはり、同ファンドのパフォーマンスの回復にあると考えられる。
新興国株式インデックスファンドは、過去10年ほどを振り返ると、先進国株式インデックスと比較して劣後するパフォーマンスが続いていた。この10年間のスターは、「S&P500」に代表される米国株式指数といえ、米国株の上昇によって先進国株式指数も高いパフォーマンスを残してきた。
実際の数値を振り返ると、「S&P500(配当込み、円ベース)」の過去10年間(年率)のトータルリターンは16.09%に達する。これに引っ張られて、米国株式の組み入れ比率が約70%である先進国株式指数「MSCIコクサイ(除く日本)(配当込み、円ベース)」は12.53%、そして、米国株式の組み入れ比率が56%の全世界株式指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円ベース)」は11.44%だった。ところが、新興国株式指数である「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円ベース)」は5.64%だった。S&P500と比較すると3分の1の水準だ。
新興国株価指数の低迷の原因は、指数構成比で40%程度を占める中国株式の不振といえる。2015年6月に始まった「チャイナ・ショック」では、2008年のリーマンショック後、4兆元規模の景気刺激策を打ち出すことで世界経済のけん引役を担ってきた中国が、過去1年間で上海総合指数が約2.5倍(2000ポイントが5178ポイント)になるという株高から、2カ月間で45%も下落する試練に直面した。その後は、米中貿易摩擦の激化などもあって中国株価は、概ね横ばいの動きを続けてきた。
しかし、コロナショック以降、世界でいち早く感染封じ込めに成功した中国は、世界中が大幅なマイナス成長となる2020年も経済成長率がプラス圏を維持、2021年は一段と成長力を増す見込みだ。再び、リーマンショック後のような世界経済のエンジンとしての期待が高まっている。株価もその期待を背景に上昇基調にある。
新興国株式指数は、トータルリターン5年(年率)、同3年(年率)でも、先進国株式指数に劣後した。5年(年率)は先進国の6.11%に対し新興国は5.58%、3年(年率)は、先進国の4.61%に対し、新興国は0.28%だ。特に過去3年間の新興国株式インデックスのパフォーマンスは悪かった。ところが、過去1年間でみると、先進国株式の1.95%に対して新興国株式は5.97%と逆転する。このようなパフォーマンスの好転が、積立契約ランキングにも表れてきたと考えられる。依然として米国株価の上昇は続いているが、久しぶりにパフォーマンスが改善している新興国株式にも注目したい。
提供:モーニングスター社