つみたてNISAスタートから34カ月、積立運用成績はアクティブファンドに軍配

 つみたてNISAが始まってから3年間が経過しようとしている。つみたてNISAは、低コストのインデックスファンドを中心に、積立投資を行うと20年間にわたって運用益が非課税になる制度で、資産形成層の投資の第一歩として広く活用されることが期待されている。制度スタートの2018年1月から、20年10月末まで34カ月間の積立結果を主要ファンドで検証してみると、インデックスファンドよりもアクティブファンドで積み立てた方が良い結果になっていることが分かった。

 10月末現在で、アクティブファンドである「ひふみプラス」は、投資元本34万円に対し、評価額は38.84万円となり元本に対し14.22%の超過収益になった。同じく、「フィデリティ・米国優良株・ファンド」は12.13%、「年金積立Jグロース」は9.64%になった。

 インデックスファンドの「iFreeTOPIXインデックス」の0.52%、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 日経平均インデックスファンド」の7.67%、米S&P500に連動する「iFree S&P500インデックス」の11.53%、先進国株式指数(MSCIコクサイ)に連動する「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の6.69%、新興国株式指数(MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス)に連動する「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の5.96%、全世界株式指数(FTSEグローバル・オール・キャップ)に連動する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の5.37%などに比べて、アクティブファンドに好成績のファンドが目立った。

 インデックスファンドでの積立成績を比較すると、S&P500がもっとも良く、次いで、日経平均株価に連動するファンドの成績が良かった。半面、TOPIX(東証株価指数)連動型は、ようやく投資元本を確保できたところという水準であったため、過去3年足らずの運用期間では、投資対象としての魅力がほとんどない指数であることがわかる。

 一方、バランス型ファンドでは、国内外の株式・債券・リートという6資産に投資する「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)」の超過収益は0.46%、株式と債券部分を国内・先進国・新興国の3区分とし、内外リートを加えた8資産に投資する「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」が0.65%だった。アクティブファンドの「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」は5.38%となり、こちらでもアクティブファンドの方が良い成績になった。

 つみたてNISAについては、ともすれば、運用コストの低さに注目が集まり、低コストのインデックスファンドを購入することが唯一正しい方法であるかのように考えられがちだが、実際の運用成績を振り返ると、アクティブファンドの中にインデックスファンドを上回る投資成績をあげるファンドがある。

 アクティブファンドは、優秀なファンドマネージャーを選ぶことが課題になる。つみたてNISAでは、信託報酬が国内型で年1.0%(税抜き)以下、国際型で年1.5%(同)以下という条件に加えて、運用期間5年以上、純資産額50億円以上、かつ、信託期間中の3分の2以上で資金流入超という条件が付く。5年以上もおおむね資金流入超が続いているのは、長期にわたって投資家が前向きな評価をしているということになる。多くの投資家の評価が高いアクティブファンドとして、つみたてNISAの対象ファンドを評価しても良いのではないだろうか。

 なお、つみたてNISAが始まって以来、過去34カ月にわたって積立投資を継続した場合、主要ファンドに投資していると、概ねプラスの投資成績を残すことができている。この34カ月間の間には、米中関係の悪化から株価が急落した2018年12月、また、今年3月のコロナショックのような急落場面も経験している。それでも積立を継続していると、株価等の反騰によって積立投資評価額がプラス圏に浮上してくるものだ。

 「投資は怖い」という感覚は、正しい感覚だ。だからこそ、積立投資で、時間を分散してコツコツ投資することで「怖い」という気持ちも分散する。来月も、再来月も同じ額を購入し続けるため、今月買った後で株価が下落しても、来月また安い値段で買い増すことができるのだ。つみたてNISAを気長にコツコツと続けて、将来の資産を作り上げていきたい。
提供:モーニングスター社
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