アジアリートは高成長・高利回りの魅力を取り戻せるか? 株式に比べて出遅れ目立つ
アジアリートについて見直すタイミングにきているのではないだろうか。国内ではJリートの低迷が長引き、リート(不動産投信)そのものの魅力が失せてしまったかのような印象もあるが、アジアリートはJリートより一足早く回復の動きを見せている。そもそも日本経済の成長率と比較してアジアの経済成長率は高く、コロナワクチンが行き渡ってコロナ禍の克服にめどが立つと、アジアリートへの成長期待も急速に戻ってくると考えられる。
過去1年間を遡って、世界の株価(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス=MSCIACWI)と東証REIT指数、そして、Jリートを除くアジアリートを投資対象とした「アジアREIT・リサーチ・オープン(毎月)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、Jリートとアジアリートの両方を投資対象にした「Jリート・アジアミックス・オープン(毎月)」(三井住友DSアセットマネジメント)のトータルリターンの推移をみると、この1年間でリートのパフォーマンスが良くなかったことが良く分かる。特に、東証REIT指数の低迷が象徴するように、Jリートの運用成績が悪い。
リートの成績不振は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、人の移動が大きく制限された今年の経済の縮図のようなものだ。世界的に外国旅行が停止された関係で、ホテルの稼働率は大幅に落ち込みホテルリートの業績は低迷。加えて、人の移動制限がある関係で商業施設の売上も大幅ダウン。商業施設リートも振るわなかった。さらに、ロックダウン(都市封鎖)中はもちろんのこと、ロックダウンが解除された後も、テレワーク(在宅勤務)などの活用による「働き方改革」が進展し、オフィススペースの縮小が始まった。
Jリートの主力であるオフィスリートは、ここ数年でひっ迫していたオフィス需要の後退によってオフィスの空室率が上昇するという逆風にさらされることになった。テレワークの進展は、都市近郊に住む必要がなくなるため、中長期的には住宅リートにも影響が及ぶ可能性がある。巣ごもり消費によって拡大したEコマース(電子商取引)を支える倉庫など物流リートのみが唯一プラスの影響を受けたが、それ以外のリートは軒並み業績不振で沈んでしまった。
このように、コロナの影響を大きく受けただけに、コロナ禍が沈静化すれば、その回復は速いと考えられる。もちろん、コロナを経験して新しい生活を意識した社会となり、コロナ前の状態には戻らないと考えた方が良い。オフィス、住宅、商業施設などは、従来とは違う評価が必要だろう。また、コロナ禍で快走した物流リートについても、コロナ禍が一巡したからといって業績が悪くなるとは言えない。
アジアリートがJリートに先駆けて価格が戻っているのは、オフィスの比率が高いJリートに比べて、アジアリートはデータセンターや物流などの比率が高く、国をまたいで不動産を保有しているリートなど、Jリートに比べて幅広い種類があるという特徴があるためだろう。また、アジアの経済成長率は日本よりも高く、かつ、利回りの水準はJリートよりも高い。Jリートよりも市場規模が小さく流動性に問題があるという点に気を付ければ、Jリートよりも魅力的に感じられる銘柄も少なくない。
アジアリートは、コロナショック前は、株式市場よりも高いリターンをあげていた。たとえば、「アジアREIT・リサーチ・オープン(毎月)」は過去1年間のリターンこそマイナス12.14%となり、MSCIACWIの2.3%から大きく劣後するが、過去5年の年率リターンは6.6%でMSCIACWIの5.83%を上回る。「Jリート・アジアミックス・オープン(毎月)」も過去1年間はマイナス18.30%と苦戦しているが、過去3年の年率リターンは4.58%とMSCIACWIの3.78%を上回っている。株価が大きく戻った中で、出遅れが目立つアジアリートについて、その内容を良く吟味して投資を検討するタイミングに来ているのではないだろうか。
提供:モーニングスター社
過去1年間を遡って、世界の株価(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス=MSCIACWI)と東証REIT指数、そして、Jリートを除くアジアリートを投資対象とした「アジアREIT・リサーチ・オープン(毎月)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、Jリートとアジアリートの両方を投資対象にした「Jリート・アジアミックス・オープン(毎月)」(三井住友DSアセットマネジメント)のトータルリターンの推移をみると、この1年間でリートのパフォーマンスが良くなかったことが良く分かる。特に、東証REIT指数の低迷が象徴するように、Jリートの運用成績が悪い。
リートの成績不振は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、人の移動が大きく制限された今年の経済の縮図のようなものだ。世界的に外国旅行が停止された関係で、ホテルの稼働率は大幅に落ち込みホテルリートの業績は低迷。加えて、人の移動制限がある関係で商業施設の売上も大幅ダウン。商業施設リートも振るわなかった。さらに、ロックダウン(都市封鎖)中はもちろんのこと、ロックダウンが解除された後も、テレワーク(在宅勤務)などの活用による「働き方改革」が進展し、オフィススペースの縮小が始まった。
Jリートの主力であるオフィスリートは、ここ数年でひっ迫していたオフィス需要の後退によってオフィスの空室率が上昇するという逆風にさらされることになった。テレワークの進展は、都市近郊に住む必要がなくなるため、中長期的には住宅リートにも影響が及ぶ可能性がある。巣ごもり消費によって拡大したEコマース(電子商取引)を支える倉庫など物流リートのみが唯一プラスの影響を受けたが、それ以外のリートは軒並み業績不振で沈んでしまった。
このように、コロナの影響を大きく受けただけに、コロナ禍が沈静化すれば、その回復は速いと考えられる。もちろん、コロナを経験して新しい生活を意識した社会となり、コロナ前の状態には戻らないと考えた方が良い。オフィス、住宅、商業施設などは、従来とは違う評価が必要だろう。また、コロナ禍で快走した物流リートについても、コロナ禍が一巡したからといって業績が悪くなるとは言えない。
アジアリートがJリートに先駆けて価格が戻っているのは、オフィスの比率が高いJリートに比べて、アジアリートはデータセンターや物流などの比率が高く、国をまたいで不動産を保有しているリートなど、Jリートに比べて幅広い種類があるという特徴があるためだろう。また、アジアの経済成長率は日本よりも高く、かつ、利回りの水準はJリートよりも高い。Jリートよりも市場規模が小さく流動性に問題があるという点に気を付ければ、Jリートよりも魅力的に感じられる銘柄も少なくない。
アジアリートは、コロナショック前は、株式市場よりも高いリターンをあげていた。たとえば、「アジアREIT・リサーチ・オープン(毎月)」は過去1年間のリターンこそマイナス12.14%となり、MSCIACWIの2.3%から大きく劣後するが、過去5年の年率リターンは6.6%でMSCIACWIの5.83%を上回る。「Jリート・アジアミックス・オープン(毎月)」も過去1年間はマイナス18.30%と苦戦しているが、過去3年の年率リターンは4.58%とMSCIACWIの3.78%を上回っている。株価が大きく戻った中で、出遅れが目立つアジアリートについて、その内容を良く吟味して投資を検討するタイミングに来ているのではないだろうか。
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