ESG評価の変化に着目した「三菱UFJ DC日本株ESGアクティブファンド」の魅力

 三菱UFJ国際投信は、日本株式の運用においてファンドマネージャー自身がESG評価に主体的に関わる独自のスコアリングシステムを採用し、投資判断にESG評価を取り入れている。資産運用全般にESG要素を取り入れることが社会的な要請となる中、同社では昨年8月31日に設定した「三菱UFJ DC日本株ESGアクティブファンド(愛称:そだてるみらい)」に続くようなESGファンドの開発研究を進めている。1月26日にオンラインでの記者懇談会を開催し、具体的な商品開発として「インパクト投資」や「ポジティブ・スクリーニング」などのESG手法を用いた商品について研究しているとした。

 三菱UFJフィナンシャル・グループのアセットマネジメント会社として三菱UFJ国際投信は、「MUFG Asset Management」ブランドを形成し、「グループ一体となって社会課題の解決に積極的に取り組みながら、投資先の持続的な事業成長と企業価値向上の実現を目指す」というグループの規定に則ってESGを運用に取り入れている。特に、運用会社として企業との対話の面で踏み込んだ対応をしている。その対話の目的として「投資先企業に事業を通じた社会課題解決を促し、ひいては社会全体のサステナビリティに寄与する」という投資活動につながることを目指しているという。

 そして、具体的な企業との対話にあたっては、「投資先企業に固有の重要課題」とともに、「多くの企業に共通する重要なESG課題」の2つの観点で対話を進めている。共通のESG課題として現在は、「ガバナンス」「情報開示」「気候変動」「ビジネスと人権」の4つをテーマとして対話しているとした。特に、今年度(2020年7月〜21年6月)の重点的な対話のテーマは、気候変動に関する「温室効果ガスの削減目標」や「ビジネスと人権」について企業の姿勢を聞いているという。

 また、同社ではファンドマネージャー自身がESGの評価を付ける役割を担っている点が、独自のESG評価(MUKAMスコア)に活かされている。日本株においては、ファンドマネージャー17名とESG専任のアナリスト5名が、国内約1000社についてMUKAMスコアを付けている。ESG専任担当者と比較するとファンドマネージャーのESGに関する対話力や評価能力は見劣りする部分はあるという。ただ、同社ではESGの取り組みを企業の戦略投資分野と位置付け、企業の将来価値を左右する要素として評価しようとしているため、企業価値を判断するファンドマネージャー自身がESGについても深く理解し、企業評価に組み入れることが重要との判断をして現在の評価体制にした。

 このような同社のESGに対する取り組みを具体的な商品として結実させたのが、「三菱UFJ DC日本株ESGアクティブファンド」といえる。一般に、ESGインデックスやESGファンドなどでは、ESG評価項目が高い企業グループを投資対象として選定してポートフォリオにしているが、同ファンドでは現在のスコアは高くなくても、高くなるように取り組んで改善が見込まれる企業群を投資対象にしている。ここには、日本株のファンドマネージャーがESGの評価者として関わっていることのメリットがある。結果的に、国内株式で継続リサーチの対象となっている約800銘柄が全て投資ユニバースとなり、その中からESGの取り組みの改善見通しのある銘柄をピックアップして組入候補銘柄を選定することができる。

 このような運用プロセスの結果、同ファンドのマザーファンドは2019年5月15日に設定し、2020年12月末までの設定来騰落率は31.92%だったが、これは、同期間のTOPIX(配当込み)の22.07%を9.85%上回った。また、このパフォーマンスは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用するESGインデックスの「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」(騰落率28.45%)、「FTSE Blossom」(同22.58%)、「MSCI日本株女性活躍指数」(同24.50%)、「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」(同22.80%)などと比較しても優位な成績になった。

 実際にマザーファンドの設定時から直近まで、約1年半程度の期間の中で組入35銘柄のうち7銘柄についてMUKAMスコアが向上するという結果にもなっている。このような企業変化は、株価の上でも評価を高める要因に働いていると考えられ、同ファンドの優位な運用成績にもつながっていると考えられる。
提供:モーニングスター社
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