パッシブへの高水準な資金流入が継続、5月は過去10年間で2番目の流入超過

 モーニングスターの推計によると、2022年5月のパッシブファンド(ETF除く)への純資金流入額は前月比32.0%増の4109億円となった。過去10年間(2012年6月〜2022年5月)では、2021年12月の4410億円に次ぐ第2位となった。年初からの金融市場の動揺を受けてアクティブファンドへの純資金流入額が大きく変動する一方で、パッシブファンドには高水準な資金流入が続いている。

 パッシブファンドの純資金流入額は、2022年3月に3764億円となり過去10年間で第3位、4月は3112億円で同9位となった。1、2月も2000億円台後半の純資金が流入した。過去10年間の純資金流入額上位10カ月を見ると、うち9カ月が2021年3月以降となった。パッシブファンドには昨年から高水準な資金が流入しており、新型コロナウイルスのオミクロン型が出現した2021年11月や、米金融引き締め観測とウクライナ問題が響いた2022年1、2、4月といった金融市場が大きく揺れた月においても、高水準な資金流入が続いた。

 アクティブファンド(ETF除く)への2022年5月の純資金流入額は3776億円となった。米金利上昇を受けたグロース株の急落を背景に純資金流入額が531億円と大幅に落ち込んだ4月からは回復したが、パッシブファンドには届かなかった。2022年3月から3カ月連続して、パッシブファンドへの純資金流入額がアクティブファンドの純資金流入額を超過した。

 アクティブファンドは2022年2月、4月に純資金流入額が前月から急減した。今年に入ってから、金融市場の動揺を受けた資金フローの変動が激しく、高水準な資金流入が続くパッシブファンドとは対照的である。リスク回避局面で資金流入が細ったアクティブファンドに対して、パッシブファンドは低コストファンドを中心に積立投資も含めて安定した資金流入が続いている。

 5月の純資金流入額の上位5ファンド(ETF除く)を見ると、トップの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を始め、第3位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」、第4位の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・V・S&P500)、第5位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))と4ファンドを米国株式もしくは全世界株式に投資するインデックスファンドが占めた。いずれもつみたてNISA採用の低コストファンドであり、純資金流入額は前月から増加した。一方、第2位にはアクティブファンドの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が入ったが、純資金流入額は前月から減少した。

 インフレの高進、米金融引き締め加速に対する懸念、ウクライナ問題の長期化観測など、金融市場が不安材料を数多く抱えている状況に変わりはない。低コストファンドがけん引役となり、パッシブファンドへの高水準な資金流入が継続するか注目したい。
提供:モーニングスター社
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