AIGインベストメンツが主要新興国のレポートを発表(1)(ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ロシア)

 AIGインベストメンツは18日、「最近の主要新成長国(8カ国)の動向について」レポートを発表した。8カ国のうち、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ロシアの見通しは以下の通り。

 ブラジル:10月29日にブラジル中銀とFRB(米連邦準備制度理事会)との間で結ばれた最大300億ドルの通貨スワップ協定の締結により、外貨準備高を削減せずにドルを市場に供給できるようになった。流動性の確保とレアル安圧力への対抗につながるとみている。危機に対応するだけの外貨準備高を保有しているため、信用力がすぐに悪化するとは想定しにくい。今後、利下げに転じたとしても魅力的な金利水準は当面維持される可能性が高い。

 メキシコ:2009年のインフレ率はインフレ目標水準(2〜4%)の範囲に収まっていくと想定される。中央銀行はインフレ率の低下を受け利下げスタンスに転じていく可能性がある。政府は外需の低迷を内需で補うために、10項目の景気刺激策、過去最高のインフラ投資額の計上など大規模な景気刺激策の実施を掲げており、その動きは来年の中間選挙や2012年の大統領選挙後に加速することが予想される。

 アルゼンチン:経済・政治の両面での混乱、それに伴う財政負担の高まりへの懸念、民間年金基金国有化(総額約290億米ドル)などを背景にS&P社は外貨・自国通貨建て長期債格付けを10月31日に「B」から「B−」に引き下げた。ただ、民間年金基金の国有化で国債の償還費用などのメドがつき、短期的なデフォルトが起きる可能性は低いと考えられる。とはいえ、農業生産の減少や海外への資金流出など、輸出価格の下落が内需に悪影響を及ぼす可能性が高く、2009年以降の経済成長率は大幅に悪化していくことが想定される。

 ロシア:外貨準備高(約4700億米ドル)の減少が懸念されるものの、銀行や企業などの債務合計を大きく上回る水準を保ち、2009年に償還を迎える国債(約1800億ドル)の支払いには充分に対応が可能と考えられる。一方、海外投資家の資金流出傾向の高まりや政府による銀行などへの緊急経済支援策が発表されたが、その内容は不透明。ファンダメンタルズの更なる悪化懸念などを背景に格下げの可能性が懸念される。ロシアは国家歳入の約50%をエネルギーが占める構造的なネックを抱える。


提供:モーニングスター社
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