高利回り社債や新興国大型株、REIT連動型のETFは投資を見送るかカラ売りすべき=米モーニングスター

  今年の夏以降、投資家は手仕舞って次の投資機会を待つか、空売りのポジションを取っていなければ、恐らく巨額の損失を抱えていたと思われる。ETF(上場投資信託)についても、保有すべきか損切りすべきかの判断を迫られている投資家が多いとみられる。
 今日にも売った方が得策と思われるETFには、高利回り社債を投資対象とした「アイシェアーズ・iBoxx・$・ハイ・イールド・コーポレート・ボンド(HYG)」や「SPDR ・リーマン・ハイ・イールド・ボンド(JNK)」がある。高利回り社債のスプレッド(対国債スプレッド)は約1550ベーシスポイントに達し、利回りに換算すると約20%となっている。こうした高利回り社債の発行企業の業績は今後、ますます悪化するとみられるため、高利回り社債ETFには手を出すべきではないと考える。景気後退の長期化で破たんする企業が急増する可能性が高まっている。アナリストの多くはこれらの企業の社債のデフォルト率が8〜12%に上昇すると予想している。それでも高利回り社債に投資するのであれば、「アイシェアーズ・iBoxx ・$・インベストメント・グレード・コーポレート・ボンド(LQD)」などの投資適格級の社債を対象としたETFにとどめておくべきだろう。
 また、次に注意すべきなのは新興国市場の大型株だ。世界的な景気後退でコモディティ価格が急落し続けており、新興国の石油大手であるブラジルのペトロブラスやロシアのガスプロム、韓国の鉄鋼大手ポスコなどの企業に大打撃を与える公算がある。今後、通貨危機が起こる可能性や業績悪化のニュースが飛び込んでくる可能性もあるだけに、新興国の企業を主な投資対象としたETFの「アイシェアーズ・MSCI・エマージング・マーケッツ・インデックス(EEM)」や「BLDRs・エマージング・マーケッツ・50・ADR・インデックス(ADRE)」などのETFは売却するか、空売りを検討すべきだ。
 また、REIT(不動産投資信託)セクターも商業用不動産の業績が悪化、無配となる可能性があるので関連ETFは注意する必要がある。不動産の資産価値が急落しており、今後も空室率の増加などでキャッシュフローが減少、一部の企業ではデフォルトのリスクも高まるので、REITセクターの指数に連動するETFは投資を避けるのが賢明だ。一方、「ウルトラショート・リアル・エステート・プロシェアーズ(SRS)」は、レバレッジをかけて米国不動産株の下落で利益を得られるETFであり、検討に値する。(2008年11月21日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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