08年ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーを発表、波乱相場で勝つ投資戦略とは=米モーニングスター

 米モーニングスターは6日、08年のファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーを発表した。国内(米国)株式部門では「ロイス・スペシャル・エクイティ(RYSEX)」ファンドのチャーリー・ドレフュス氏、債券部門では「FPA・ニュー・インカム(FPNIX)」ファンドのボブ・ロドリゲス氏とトーマス・アテベリー氏、国際株式部門では「アーチザン・インターナショナル・バリュー(ARTKX)」ファンドのデイビッド・サムラ氏とダニエル・オキーフ氏がそれぞれ受賞した。08年はファンドの平均リターンがマイナス30%以上落ち込む厳しい年となったが、今回選出された運用マネジャーは損失を可能な限り抑えることに成功した。また、選定の上では08年の成績だけでなく、長期的な投資パフォーマンスや受託者責任が適切に果たされているかも評価した。

 国内株式部門で最も優れた運用者として選ばれたドレフュス氏は、下落相場でこそ力を発揮するタイプのマネジャーだ。企業の本来価値を見抜く独自の視点を持ち、非常に割安な水準で取引されている銘柄のみを買っている。また、ROIC(投下資本利益率)が高く、適切な会計処理を行っており、財務状態が良好な企業を投資対象としている。ドレフュス氏が運用するファンド(RYSEX)は08年に19.5%のマイナスリターンとなったが、これは類似ファンドの平均を14%も上回っている。同ファンドが投資対象とする小型バリュー株の分野は、住宅ローン会社や不動産関連株、景気敏感株など割安だが投資妙味のない銘柄が多いが、ドレフュス氏はこうした「割安株の罠」をうまく避けて、防衛機器や家庭用製品の製造を手掛けるナショナル・プレスト・インダストリーズや冷暖房機器などの電化製品を販売するワツコ、鉄道関連機器メーカーのワブテックなどの有望株を見つけ出している。

 債券部門で選出されたロドリゲス氏はサブプライム(信用度の低い顧客向け)ローン問題を発端とした金融危機が起こることを事前に予想していた数少ない投資家の1人だ。ロドリゲス氏は住宅バブルの崩壊を見越して、債券のデフォルトや金利変動リスクなどあらゆるリスク要因を早い段階でポートフォリオから排除していた。ロドリゲス氏とアテベリー氏が運用するファンド(FPNIX)は08年に4.3%のプラスのリターンを達成し、中期債ファンドの平均リターンを9.2%上回った。0.30%ほどのリターンの差で優劣が決まる債券ファンドの世界において、非常に優れた成績を残している。もちろん、これは長期的な投資リターンを犠牲にしてリスク回避に走った結果ではない。同ファンドは10年間リターンでも類似ファンドの上位5%にランクインしている。

 国際株式部門で受賞したサムラ氏とオキーフ氏はバランシシートが健全で割安感が顕著な銘柄に投資するのが特徴で、急落した金融株への投資を避ける方針を貫いた点が奏功した。両氏が運用するファンド(ARTKX)の08年のリターンはマイナス30.1%と、一見あまり良い成績ではないようにみえるが、国際中小型バリュー株ファンドの平均リターンがマイナス47%で、MSCI・EAFE(北米を除く先進国株式市場の平均株価指数)のリターンがマイナス43%であったことを考慮すれば、ARTKXがいかに堅調なパフォーマンスであるか分かる。さらに、長期でみると同ファンドの運用能力の優秀さが鮮明となる。2002年に1万ドルを投資した場合、MSCI・EAFEに連動するファンドの場合1万4297ドルまでしか増えないが、ARTKXでは2万2561ドルまで大きく膨らんでいる。このような高リターンの背景には、ファンドの資産が適正規模に達した段階で新規募集を停止する運用方針があるとみられる。同ファンドは最近、株価下落による資産の目減りと新たな投資機会の到来を受けて新規募集を再開している。(2008年1月6日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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