個人投資家向けのETFイベント開催、専門家が来年の注目分野を徹底討論
国内でETF(上場投資信託)の商品ラインアップが増えるなか、低コストでさまざまな資産に分散投資できるツールとしてETFへの関心が高まっている。海外投資に関する動画コンテンツをインターネットで配信する「ワールドインベスターズTV」は14日、株式や商品など各分野の専門家が討論する「異種注目投資先決定戦」と題したイベントを都内で開催。11年に注目のETFについて熱い議論が交わされた。
<グローバルな資産分散、個人投資家でも可能に>
イベントの前半では晋陽FPオフィス代表でインデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏がETFの特徴などについて講演した。同氏は高成長が期待される新興国などの海外マーケットに投資する際にETFを活用することの重要性を指摘。「新興国といってもBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に限らずさまざまな国がある。宗教や政治などのリスクまで考えるとどこに投資すべきか判断に迷うが、そのときは新興国株式に幅広く投資するETFを買えばよい」とアドバイスした。また、株式だけでなく債券や不動産、商品などさまざまな資産を対象にしたETFが登場したことで、かつては富裕層やプロの投資家に限られていたグローバルな資産分散が一般の個人投資家でも可能になったと述べた。
<新興国株式、1年で2倍近く上昇も>
その後行われたパネルディスカッションでは日本株式、外国株式、不動産、商品のそれぞれの専門家が11年の相場展望やETFの活用方法を議論した。日本株式についてはフィスコプレイス・客員アナリストの鈴木一之氏が説明。日本株は割安で投資妙味があるとしたほか、「日経平均株価の過去の値動きをみると、春に天井をつけたあと、秋にかけて下落し、年末に再度上昇する傾向がある」とされ、こうしたトレンドを予想しながら日経平均連動型ETFを取引する戦略が考えられると語った。
一方、外国株式に強気の見通しを示したのが個人投資家への投資アドバイスなどを行うS&S investments代表取締役の岡村聡氏。実際にドバイなど新興国の株式に投資している同氏は、「ASEAN(東南アジア諸国連合)地域や中東、アフリカには指数が1年間で2倍近く上昇する国がある」と話し、新興国株式は高いリターンが見込める点を強調した。約20カ国の新興国株式をカバーする東京証券取引所上場のETF「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」<1681.T>が優れた投資手段になるという。
<商品ETFは原油に注目>
不動産投資のコンサルティングを手掛けるプレミアム・インベストメント&パートナーズ代表取締役の午堂登紀雄氏は不動産ETFについて話し、REIT(不動産投資信託)を投資対象とするETFは「高い配当利回りが魅力。相場の乱高下に左右されず安定的な収入を期待する投資家に向いている」とした。
また、丸紅経済研究所代表の柴田明夫氏は商品指数に連動するETF全般に投資価値があるとしたものの、なかでも原油を注視。「投機マネーに左右された08年の原油価格高騰とは異なり、来年は中国を中心とした実需の拡大を背景に原油価格が1バレル=100ドルを超えて上昇する」と予想した。金に関しては金価格に連動するETFの需要増大で金価格が押し上げられている部分もあると述べた。
今回のイベントに協賛した東証の企画マーケティング部・統括課長の津野明彦氏はイベント終了後にモーニングスターの取材に応じ、「今後は、これまでなかった資産クラスに投資するETFを増やす一方で、すでに上場しているETFの流動性を高めるための取り組みを進めたい」と話した。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社
<グローバルな資産分散、個人投資家でも可能に>
イベントの前半では晋陽FPオフィス代表でインデックス投資アドバイザーのカン・チュンド氏がETFの特徴などについて講演した。同氏は高成長が期待される新興国などの海外マーケットに投資する際にETFを活用することの重要性を指摘。「新興国といってもBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に限らずさまざまな国がある。宗教や政治などのリスクまで考えるとどこに投資すべきか判断に迷うが、そのときは新興国株式に幅広く投資するETFを買えばよい」とアドバイスした。また、株式だけでなく債券や不動産、商品などさまざまな資産を対象にしたETFが登場したことで、かつては富裕層やプロの投資家に限られていたグローバルな資産分散が一般の個人投資家でも可能になったと述べた。
<新興国株式、1年で2倍近く上昇も>
その後行われたパネルディスカッションでは日本株式、外国株式、不動産、商品のそれぞれの専門家が11年の相場展望やETFの活用方法を議論した。日本株式についてはフィスコプレイス・客員アナリストの鈴木一之氏が説明。日本株は割安で投資妙味があるとしたほか、「日経平均株価の過去の値動きをみると、春に天井をつけたあと、秋にかけて下落し、年末に再度上昇する傾向がある」とされ、こうしたトレンドを予想しながら日経平均連動型ETFを取引する戦略が考えられると語った。
一方、外国株式に強気の見通しを示したのが個人投資家への投資アドバイスなどを行うS&S investments代表取締役の岡村聡氏。実際にドバイなど新興国の株式に投資している同氏は、「ASEAN(東南アジア諸国連合)地域や中東、アフリカには指数が1年間で2倍近く上昇する国がある」と話し、新興国株式は高いリターンが見込める点を強調した。約20カ国の新興国株式をカバーする東京証券取引所上場のETF「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」<1681.T>が優れた投資手段になるという。
<商品ETFは原油に注目>
不動産投資のコンサルティングを手掛けるプレミアム・インベストメント&パートナーズ代表取締役の午堂登紀雄氏は不動産ETFについて話し、REIT(不動産投資信託)を投資対象とするETFは「高い配当利回りが魅力。相場の乱高下に左右されず安定的な収入を期待する投資家に向いている」とした。
また、丸紅経済研究所代表の柴田明夫氏は商品指数に連動するETF全般に投資価値があるとしたものの、なかでも原油を注視。「投機マネーに左右された08年の原油価格高騰とは異なり、来年は中国を中心とした実需の拡大を背景に原油価格が1バレル=100ドルを超えて上昇する」と予想した。金に関しては金価格に連動するETFの需要増大で金価格が押し上げられている部分もあると述べた。
今回のイベントに協賛した東証の企画マーケティング部・統括課長の津野明彦氏はイベント終了後にモーニングスターの取材に応じ、「今後は、これまでなかった資産クラスに投資するETFを増やす一方で、すでに上場しているETFの流動性を高めるための取り組みを進めたい」と話した。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社