財政支出拡大で米国債ファンドに黄信号、09年は社債に注目=米モーニングスター

 08年は金融危機が起こり、世界中の投資家がリスク回避で安全資産の米国債に殺到した。米国の関連ファンドでは長期の米国債に投資する債券ファンド「バンガード・ロングターム・U.S.トレジャリー(VUSTX)」の08年のリターンがプラス23%と高いパフォーマンスを達成している。一方、大打撃を受けたのが高利回りのジャンク債に投資するファンドで、08年のリターンは平均でマイナス26%と低迷している。

 しかし、オバマ米次期政権の8000億ドル規模の景気対策の実施でインフレが加速する懸念があるため、今後米国債価格の下落は避けられないだろう。米国債の保有割合が高いファンドは08年には勝者となったが、09年は敗者になる可能性が高い。

 米国債以外の有望な投資先として考えられるのが社債だ。08年10月、11月と一部の投資適格社債の利回りは最大で8%または9%に上昇し、最近ではジャンク債の平均利回りが20%を超えた。高い利回りは魅力がある半面、投資リスクの高さの反映でもある。ただ、これほどの高利回りは企業のデフォルト(債務不履行)率が1930年代の大恐慌よりも高くなるという最悪の事態をも市場が織り込んだ結果と言え、あまりにも悲観的すぎると言えるだろう。

 ここ数週間で社債も値を戻し始めており、米国の投資適格社債の指数「バークレイズ・キャピタル・U.S.コーポレート・インベストメント・グレード・インデックス」の利回りは08年10月末時点の9.1%から1月8日時点で7.3%に低下した。ジャンク債指数の「バークレイズ・キャピタル・ハイ・イールド・インデックス」の利回りは18%に低下したが、まだ十分に高い水準にある。

 ただし、ジャンク債ファンドへの投資は景気が今後一段と悪化し、デフォルトが増えれば投資家が痛い目に遭う可能性がある。クレジット市場の早期改善が見込めない場合、企業は社債による資金調達がさらに困難になる。また、ジャンク債市場の悪化を嫌気した投資家によるファンド解約が増えれば、ファンドマネージャーは破格の値段で保有資産の売却を余儀なくされるだろう。

 このため、ジャンク債ファンドに投資するのであれば、デフォルトリスクの高い企業の債券を避けられるように目利きに秀でたファンドマネージャーの商品を選ぶよう注意したい。もっとも、ジャンク債のリスクそのものを避けたい投資家は、投資適格社債を中心に組み入れるファンドにとどめておくべきだろう。(2008年1月12日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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