投信最大手バンガードのCIOが語る投資戦略(2)―「日本株式に魅力」

●インデックスファンド運用の舞台裏

 ――最近では若い会社員などがインデックスファンドに少しずつ積み立てで投資する動きがあるが、インデックスファンドの中でもどのようなファンドを選べばよいか。

 「ファンド選びを成功させるには3つのポイントを考慮する必要がある。第一に幅広く分散投資されているファンドかどうか。分散投資によりリスクを抑えられる。次に手数料などのコストが十分に低いかどうか。最後はトラッキング精度。過去の運用で連動指数とのカイ離ができる限り少なくなっているかだ」

 ――適正なトラッキング精度を維持するには運用会社の能力、組織体制が非常に大事だ。日本ではTOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドが多く設定され、インデックスファンドの運用は簡単だと思われることもあるが、実際には大変なのではないか。

 「確かに一部ではインデックスファンドの運用は単純だとみなされているようだが、舞台裏では実にいろいろなことが行われている。当社のポートフォリオマネジャーの多くは20年以上の運用経験を持つ。彼らの経験が成功の大きな要因となっている。インデックス運用は日々変化するさまざまな要因を考慮しなければならない困難な仕事だ」

●バンガード流「アクティブファンド選びのコツ」

 ――バンガードはインデックスファンドのイメージが強いが、運用資産の約半分はアクティブファンドだ。しかも米モーニングスターの評価は高い。アクティブファンドはどのような基準で選べばよいか。

 「アクティブファンドを選ぶ基準はインデックスファンドとそれほど変わらない。十分に分散され、低コストかという点だ。もちろんポートフォリオマネジャーの能力も大きい。マネジャーがファンド運用において常に新たな価値を付加してきたか、さらに運用スタイルが過去から一貫しているかを重視したい」

 ――投資家がインデックファンドとアクティブファンドのどちらかを選ぶ、あるいは両方に投資する場合、気をつけるべきことは何か。

 「誰にとってもインデックスファンドはポートフォリオの重要な基盤になりえる。ただ、優れたアクティブファンド運用者を選別できる投資家であれば、ポートフォリオのコア(中核)はインデックスファンドで、その補完としてアクティブファンドに投資するのもよいだろう。有能なアクティブファンドマネジャーを見極める自信がない人はすべてインデックスファンドでも構わない」

●「経済成長率と株式のパフォーマンスには関係がない」

 ――最後に日本について質問したい。日本では国内資産に対する投資マインドが低下し、海外、特に新興国に関心を持つ投資家が相当増えている。経済が停滞し、閉塞感が漂う日本をどのようにみているか。

 「日本経済は過去20年にわたり厳しい状況に陥っている。日本の投資家が国内市場に失望したり、投資したくないと考える気持ちはよく分かる。ただ、日本経済は現在、グローバル経済が回復しつつあることを追い風に少しずつ強くなっている。また、日本株式のバリュエーション(株価評価)は将来への投資という観点では魅力的だ」

 「もう一点伝えたいことがある。金融理論の本には、中国のように成長著しい国の株式リターンが高くなるものだとは書かれていない。投資リターンはリスクを取ることの見返りであり、経済の成長率はそれほど大きな要因ではない。実際に過去の事例をみても、ある国の経済成長率と株式のパフォーマンスには関係がないことが分かっている」

 「したがって、投資対象国の経済成長率に合わせてポートフォリオを構築するという考え方には賛成できない。アセットアロケーションを考える場合には分散投資によりリスクを低くすることが大切だ」
提供:モーニングスター社
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