米地方債組み入れたファンドに投資妙味、低いデフォルト率と高い利回りが魅力=米モーニングスター

 米モーニングスターは米国の地方債を組み入れたファンドに投資妙味があるとの見方を07年後半から示してきたが、09年になってもこの考えには変わりはない。08年は地方債の価格低下が予想以上に進んだ。サブプライム(信用度の低い顧客向け)ローン問題を発端とした金融危機や流動性不足の深刻化を背景に、地方債市場にも次々と荒波が押し寄せた。信用不安で地方債に対する信頼感が失われたほか、地方自治体などが発行体となり入札によって金利を見直すオークション・レート証券(ARS)市場が混乱に陥った。
 
 さらに、レバレッジの高い業務を行う金融機関による地方債の売却処分の加速で地方債の価格はさらに下がった。地方債を対象にしたアービトラージ(裁定取引)戦略を展開していたヘッジファンドは他の投資で発生した損失をカバーするために、地方債を売却せざるを得なくなった。投資信託の購入者も地方債に対して一段と消極的になり、地方債の需要は低下、価格に大きな下落圧力がかかった。

 しかし、米国経済の景気悪化が一段と深刻化し、地方債市場の先行き見通しが悪化しているとはいえ、実際には地方債のデフォルト(債務不履行)が起こる可能性が極めて低い点に注目したい。ムーディーズ・インベスターズ・サービスの調査よると、1970年から2005年までの期間でみた投資適格級地方債の発行後10年間のデフォルト率はわずか0.07%となっており、社債の2.23%と比べても非常に低い水準にとどまっている。ただし、同調査によると投資適格未満の地方債のデフォルト率は4.29%と高いため、当面は投機的格付けの地方債には手を出すべきではないだろう。

 地方債ファンドの運用マネジャーの多くが現在の市場環境における地方債への投資価値は高いと指摘する。これは米国債利回りが非常に低い水準にある中で、地方債の対米国債スプレッドが大きく拡大しており、利回りの面で魅力があるからだ。地方債に個別で投資する選択肢もあるが、信用不安が今後高まる可能性を考慮すれば、調査能力の高いチームによって運営されており、地方債に分散投資するファンドを選んだ方がよいと考えられる。(2009年1月21日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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