フィデリティの運用担当者、米国ハイ・イールド債券投資の妙味を語る

 フィデリティ投信は16日、フィデリティ・グループで米国ハイ・イールドファンドを運用するファンドマネジャーのハーリー・ランク氏を招き、米国ハイ・イールド債券市場の環境などについて語った。

 ハーリー氏によると、2011年までの過去20年間で、株式やREIT(不動産投資信託)などを含めた主要資産クラスのパフォーマンスを比較した場合、米国ハイ・イールド債券への投資は相対的にリスクが抑えられながら、高いリターンを生み出しているという。また、他資産クラスとの相関関係も低く、資産分散効果を期待できるコア資産としても有力な選択肢になるとした。

 もちろん、ハイ・イールド債券への投資にリスクが存在しないわけではなく、景気循環の影響を受ける傾向がある。ただ、ハイ・イールド債券はクーポン(利息)がクッションの役割を果たすため、全体でみればパフォーマンスがマイナスに落ち込みにくく、また、過去の景気後退局面でもプラスのトータルリターンを記録するケースがみられるという。
 フィデリティ・グループは30年以上前に、業界に先駆けてハイ・イールドファンドを設定した実績を持つ。日本国内でも、フィデリティ投信は「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」<1998040105>などのファンドを運用している。同ファンドの純資産額は2011年8月末時点で5201億円となり、モーニングスターカテゴリー「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」の中で純資産ランキング2位の規模を誇る。フィデリティ・グループではハイ・イールド債券の専任アナリストを擁し、市場の大部分のハイ・イールド債券をカバー。直接企業調査により徹底した銘柄選別を行い、リスクを管理しつつ分散されたポートフォリオを構築している。

 直近の世界経済の不安定な動向は、2008年のリーマン・ショックの再来を思い浮かべる投資家もいるだろう。ハーリー氏は、2011年の米経済環境はリーマン・ショック時に比べ、米金融システムが自己資本比率の高さなどの面からも遥かに健全で、また、米企業のバランスシートも健全性を増しており、状況はまったく異なるとした。これに対し、債券価格は欧州の財政不安を織り込み、非常に割安な水準に置かれていると指摘。以上のことを勘案すると、足元ではハイ・イールド債券への投資で高いリターンを狙いやすい状況にあり、また、長期的にみても成長が期待できる資産であると強気の見方を示した。
提供:モーニングスター社
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