11年度の米最優秀ファンドマネジャーが決定、大波乱の相場乗り切るユニークな戦略が高評価

 米モーニングスターは4日、優秀なファンドマネジャーや運用チームを表彰する「ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤー」の11年度受賞者を発表した。国内(米国)株式型は「アーチザン・バリュー」などアーチザン・パートナーズの割安株ファンド3本の運用チーム、国際株式型は「トウィーディ、ブラウン・グローバル・バリュー」の共同ファンドマネジャーであるウィリアム・ブラウン氏など4名、債券型は「フィデリティ・ニュー・マーケット・インカム」のジョン・カールソン氏がそれぞれ受賞した。東日本大震災や原発事故、欧州債務危機などで大波乱となった11年のマーケットだったが、受賞者はいずれも型にはまらない独自の投資手法を貫き、激動の相場を乗り切った点が高く評価された。

<割安株ファンドのイメージに反した「ハイテク株組み入れ」が奏功>

 今回、国内株式型で最も高評価を受けたアーチザン・パートナーズの割安株ファンドの運用チームは、健全なバランスシートと強力なビジネスモデルを誇り、割安感の強い銘柄をピックアップする戦略が特徴だ。11年には、同チームが仕込んでいた半導体メーカーのナショナル・セミコンダクターを、同業のテキサス・インスツルメンツが78%のプレミアムを上乗せした株価で買収。値上がりが期待できる銘柄を先回りしてポートフォリオに組み入れる方針が奏功した。さらに、従来グロース(成長株)型のファンドが投資する傾向が強いハイテクセクターにも踏み込んで優良株を物色。最近はハイテク株でも財務が良好でキャッシュフローが潤沢といった同チームが好むタイプの銘柄も多く、アップルやITソリューション提供のマンハッタン・アソシエイツなどの保有がファンドのリターン向上につながった。

 一方、ポートフォリオで1つの銘柄への投資比率が最大で5%を超えないように徹底するなど、投資リスクの抑制にも十分気を配っている。アーチザンの割安株チームが運用する3本のファンドのうち、中型株が対象の「アーチザン・ミッド・キャップ・バリュー」の過去10年の年平均トータルリターンはプラス10.68%と、同期間の類似ファンドカテゴリーの年平均リターンであるプラス5.91%の倍近くの好パフォーマンスを達成。長期でもリスクを軽減しながら高いリターンを残している。

<欧州危機深刻化も銀行株回避で損失抑制、たばこ・アルコール株に積極投資>

 11年は、欧州債務危機の深刻化や米国債の史上初の格下げなどを受けたマーケットの混乱で「海外株式投資をするうえで非常に厳しい年となったが、いかに損失を抑えるかという点で国際株式型の受賞者は際立っていた」(米モーニングスター・アナリスト)。国際株式型部門で受賞したウィリアム・ブラウン氏などが運用を手掛ける「トウィーディ、ブラウン・グローバル・バリュー」は、11年のトータルリターンがマイナス4.13%と落ち込んだものの、類似ファンドカテゴリーの平均リターンがマイナス12.77%と2ケタ(%)のマイナスを記録したなかで損失を最小限に食い止めた。

 リターンの大幅低下を免れた最大の要因は、欧州債務危機の影響を最も受けた銀行株の保有を極力避けたことだ。半面、「攻め」の姿勢も忘れず、たばこやアルコール関連株に積極投資。フィリップ・モリスやブリティッシュ・アメリカン・タバコ、ディアジオは11年にいずれも株価が2ケタの上昇率を記録し、同ファンドのパフォーマンス改善に寄与した。

<新興国通貨の「過熱」を察知、ドル建て債への投資が成功>

 債券型で受賞したジョン・カールソン氏が運用する「フィデリティ・ニュー・マーケット・インカム」は、11年のトータルリターンがプラス7.95%と、類似ファンドカテゴリーの平均リターン(プラス1.98%)に大差をつけ、同ファンドが属する新興国債券型のカテゴリーでトップクラスの好成績をたたき出した。

 同ファンドの成功の秘訣は、新興国債券のなかでもドル建て債にこだわったこと。「現地通貨建て債券でポートフォリオを構築するファンドが増えるなかでは異色の存在」(米モーニングスター・アナリスト)とされる。しかし、これにより9月にメキシコのペソやブラジルのレアルといった新興国通貨が大きく下落した場面でも痛手を被らずに済んだ。カールソン氏は米モーニングスターとのインタビューで、現地通貨建て債券を避けた理由について、「新興国通貨が割高になっていると感じた」と述べている。
提供:モーニングスター社
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