5月の株式投信は2カ月連続の純資金流入も、純資産総額は50兆円割れ―5月の投信概況

 投資信託協会は6月13日、5月の投信概況を発表した。5月の単位型を含む株式投信の資金増減(設定から解約・償還を差し引いた増減)は6162億円増加し、2カ月連続の純資金流入となった。一方、運用は4兆2681億円のマイナスとなり、ギリシャ問題が顕在化した2010年5月以来の大幅減だった。純資産総額は3カ月連続で減少し、前月比3兆6520億円減の46兆6709億円となり、4カ月ぶりに50兆円の大台を割り込んだ。

 5月は世界景気の減速懸念や、ギリシャ、スペインを中心とした欧州債務問題に対する警戒感から、株式などの市場環境が大きく悪化した。また、外国為替市場では円が対ドルで80円、対ユーロで100円の大台をそれぞれ割り込んだほか、主要通貨に対し円高基調が強まり、外貨建て資産に投資する多くのファンドの運用に影響を及ぼした。

 こうしたなか、資金増減では4月を上回る増加額となったが、投信協会では年初からしばらく続いた好調な市場環境が、時間を置いて投資家心理に好影響を与えた結果としており、「足元の市場環境を見る限り、6月以降も5月と同様の純資金流入が継続するかは不透明」(乾文男・投信協会副会長)と、依然慎重な見方を崩していない。

 追加型株式投信の商品分類別の資金増減では、ETF(上場投資信託)を中心としたインデックス型や、ファンドオブファンズのほか、国内株式型、国際株式型なども資金を集めた。ETFの増加について、投信協会では日銀によるETF購入が結果的に好影響を与えたと指摘している。一方、運用増減はファンドオブファンズ、バランス型をはじめ全般的にマイナスとなった。

 なお、公社債投信を含む総合計では、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)、CRF(キャッシュ・リザーブ・ファンド)を中心に資金が減少し、運用もマイナスだった。純資産総額は3カ月連続で減少し、前月比3兆9445億円減の57兆3223億円となり、60兆円の大台を割り込んだ。
提供:モーニングスター社
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