米モーニングスター初の優秀ETF発表、コストや流動性重視

 米モーニングスターは4日、米国上場ETF(上場投資信託)を対象に同社が独自の分析により優秀と判断した商品および運用会社を発表した。同社は毎年、「ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤー」で注目に値する運用成績を達成したファンドマネジャーを表彰しているが、ETFを対象にした賞は初。今回、優れた運用会社を選定する「ベスト・ETF・プロバイダー」では全5部門のうち、米インデックスファンド運用大手バンガードが米国株式とセクター別株式部門で、米資産運用大手ブラックロックのETFブランドiシェアーズが国際株式と債券(課税債)部門でそれぞれ受賞し、存在感を示した。コモディティ(商品)部門では、英金融大手バークレイズ・バンクPLCが展開するiPathブランドが選ばれている。

 個別のETFに賞を授与する「ベストETF」では、規模(大型株・小型株)、スタイル(割安・成長)、セクター、地域などで分けた37のカテゴリーで、それぞれ個人投資家向け、機関投資家向けに優秀なETFを選出。ETFの評価方法としては、ETFを保有することで投資家が負担するコストがどれだけ低く抑えられているかを考慮する他、カテゴリー内のリスク調整後リターンを加味した。

 米モーニングスター・ETFアナリストのマイケル・ローソン氏は、「買い持ちする個人投資家は、長期では手数料がリターンに大きな影響を及ぼすことから、手数料の安さを重視する。それに対して多くの資金を投資する機関投資家は流動性に重きを置く」と指摘。それぞれ評価方法を調整し、個人投資家向けと機関投資家向けに賞を設けたという。

 個人投資家にとって重要な信託報酬の低さでは、低コスト運用で知られるバンガードのETFが高い評価を受けた。米大型株・ブレンド(割安・成長株の両方組み入れるタイプ)カテゴリーの個人投資家部門で、「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)が受賞。エクスペンス・レシオ(信託報酬にほぼ相当するもの)が0.06%と非常に低いことが高評価につながった。

 一方、米大型株・ブレンドの機関投資家向け部門で賞に輝いたのは、米資産運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが運用する「SPDR・S&P・500・ETF」(SPY)。米モーニングスターは、同ETFがあらゆるETFの中で最も流動性が高い点や指数に対する連動性の高さを受賞ポイントとして挙げた。「マーケット・インパクト・コスト」と呼ばれる、機関投資家自らの売買によって取引価格が変動してしまい生じるコストも低く抑えられている。

 その他主要部門の受賞ファンドは、以下の通り。

【日本株部門】
個人投資家向け「ウィズダムツリー・日本・ヘッジ付き・株式ファンド」(DXJ)、機関投資家向け「iシェアーズ・MSCI・ジャパン・インデックス・ファンド」(EWJ)

【分散型・新興国部門】
個人投資家向け「SPDR・S&P・エマージング・マーケッツ・ETF」(GMM)、機関投資家向け「バンガード・MSCI・エマージング・マーケッツETF」(VWO)

【全世界株式型部門】
個人投資家および機関投資家向け「iシェアーズ・MSCI・ACWI・インデックス・ファンド」(ACWI)

【米長期国債部門】
個人投資家向け「iシェアーズ・バークレイズ米国国債7−10年ファンド」(IEF)、機関投資家向け「iシェアーズ・バークレイズ米国国債20年超ファンド」(TLT)
提供:モーニングスター社
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