インベスコ投信が米REITセミナー開催、賃料・稼働率改善で「13年も配当成長期待」

 インベスコ投信投資顧問はこのほど、米国REIT(不動産投資信託)をテーマにした報道機関向けセミナーを開催した。同社グループで不動産投資を手掛けるインベスコ・リアル・エステートのマネジング・ディレクター、ジョー・ロドリゲス氏が米国REIT市場の現状と今後の見通しについて説明。同氏は冒頭に3つの重要なポイントとして、「REITのファンダメンタルズは非常に良好」「利回りは高水準で他の資産と比較して魅力的」「13年も配当支払いの高い成長が期待できる」と述べ、引き続きREITが有望な投資対象であることを強調した。

<出遅れていたオフィスも上昇局面入り>

 同氏は、ファンダメンタルズの改善は賃料と稼働率に表れていると指摘。用途別で不動産市場の賃料を見ると、住居やホテルなど主要セクターはすべて賃料上昇が加速するステージにあり、「出遅れていたオフィスも上昇局面入りした」という。一方、稼働率は集合住宅が09年に、小売や産業施設、オフィスが10年に底打ちし、改善傾向が続く。需給悪化要因となる物件の新規供給は限定的で、「供給が抑えられ稼働率が向上していることからオーナーは賃料改定のときに値上げをしやすく、REITの1株当たり収益と配当の増加につながっている」とした。

 実際、米国REITの1株当たり配当は1994年以降、年率6%の成長率を達成してきた。リーマン・ショック後の09年も配当は小幅な減少にとどまり、翌年以降は再び増加基調を継続。背景には日本に比べ米国では賃貸契約期間が長いため、その分収入が安定していることがある。REITの配当原資となる1株当たりキャッシュフローは1994年以降に年率7%で増加し、「13年は8−10%の増加が見込め、銘柄によっては2ケタの成長が可能」とロドリゲス氏は予想する。

 リーマン・ショックに比べれば、現在市場で懸念されている「財政の崖」の影響は限られると同氏は話す。民主・共和両党は最終的には妥協して「財政の崖」を回避するというのがメインシナリオで、米経済は13年に2%の成長を達成するとみている。仮に両党の交渉が決裂し、大規模な財政引き締めが実現した場合でも、「REITの価格が良好なファンダメンタルズに比べかけ離れた水準まで売られたときは買いだ」と強気の見方を示した。

<賃貸住宅と医療施設、物流倉庫が有望>

 ロドリゲス氏はインベスコ・リアル・エステートのREIT運用戦略についても説明した。同社では、米経済の低成長が続くなか、配当収入の増加によりトータルリターンを高めることを重視し、他社のファンドや市場平均より高い配当利回りのポートフォリオ構築を目指す。投資対象としては、マーケットのボラティリティ(変動性)が高い市場環境であることを考慮して時価総額が大きく流動性の高い銘柄を組み入れる。

 同氏は特に賃貸住宅と医療施設、物流倉庫のREITが有望とした。賃貸住宅については、リーマン・ショックでマイホームブームが崩壊した後は持ち家率が低下傾向にあることから、今後100万世帯相当の追加的な賃貸需要が見込めるという。医療施設は「米国も日本と同じように高齢化するなかニーズが高まっている」とされ、老人ホームや病院などのREITは人口動態的な要因で需要が増加していることから景気変動の影響を受けにくい。物流倉庫については電子商取引の増加で需要が一段と拡大すると予想した。

 なお、インベスコが運用に関わる日本で購入可能な米国REITファンドには新光投信の「新光 US−REITオープン」<2004093002>がある。同ファンドは実質的な運用をインベスコ・アドバイザーズ・インクが行い、純資産額(12月25日時点)は5894億円とモーニングスターカテゴリーの国際REIT型で第2位。モーニングスターの10年度「ファンド・オブ・ザ・イヤー」ではオルタナティブ型部門で最優秀賞を受賞している。
提供:モーニングスター社
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