フィデリティ、債券・株式の最高投資責任者「株式投資の魅力が高まる」

 資産運用大手フィデリティ投信は23日、「グローバルCIO(最高投資責任者)2氏が語る、13年世界市場の展望と注目点」と題し都内でセミナーを開催した。フィデリティ・ワールドワイド・インベストメント(フィデリティWI)のグローバル債券部門CIOアンドリュー・ウェルズ氏とグローバル株式部門CIOドミニク・ロッシ氏が13年の展望について語り、ウェルズ氏は世界経済について、米国は改善の兆しを指摘する一方で、欧州への懸念を示した。ロッシ氏は株式投資の魅力が高まると指摘した。

 ウェルズ氏は13年マクロ経済見通しについて、米国では景気先行指数の改善や回復傾向にある住宅市場など成長率改善の兆しが現れている一方、欧州の先行きは疑わしいと見ている。例えばスペイン若年層の失業率は57%と労働環境は厳しく、緊縮財政の影響もあり高い経済成長は望めないとした。新興国についてはより低い成長となるが、堅調な推移が見込まれるという。

 インフレ率、金利および国債については、各国中央銀行による超緩和的金融政策の持続により、テールリスク(発生する可能性は低いが発生すれば大きなリスク)としてインフレには注意が必要としている。また、こうした景気刺激策により各国政府財政が悪化、先進国国債の信用力低下が続くとした。

 ロッシ氏は13年も各国中央銀行による金融緩和が拡大継続され、債券利回りが低水準にある状態が続くと予想されることから、株式投資の魅力が高まるとの見方を示した。高いボラティリティなどを背景に近年は株式市場から資金が流出、欧米年金基金など機関投資家の株式保有額は過去30年で最低の水準にあるという。S&P500種株価指数のボラティリティを見ると、足元では低下し株式投資が見直されやすい可能性があるとしている。

 ファンダメンタルズ面では高い失業率を背景に単位労働コストの低下が企業収益を押し上げ、売上高の高い伸びは望めないものの、企業の収益率の伸びが株価に反映されると予想。欧州は厳しい状況が続くものの、雇用環境の改善が見られる米国、先進国での量的金融緩和を背景に資金流入が期待できる新興国の株式市場には注目しているとする。
提供:モーニングスター社
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