日本株ファンドこれから買うなら? 高配当株とカバードコールの「合わせ技」に注目

 「アベノミクス」への期待から株価が騰勢を強め、日本株を投資対象とするファンドが改めて関心を集めている。こうしたなか、BNPパリバインベストメント・パートナーズは2月28日、日本の高配当株の配当金と値上がり益、日経平均株価のオプション・プレミアムの獲得を目指す「日本高配当株式プレミアム・ファンド」を設定する。ファンドの仕組みとしては、「高配当株式戦略」と「株式プレミアム戦略」という2つの戦略を組み込んだ指数におおむね連動する債券を投資対象とする。

<高配当株、日経平均をアウトパフォーム>

 同社がいま日本株に注目する理由は相場が回復してきたことに加え、投資家の為替リスクへの根強い警戒感がある。同社のクライアントサービス部長・熊谷公志氏は、「昨年の春先あたりから為替リスクは嫌だという風潮が強まり、為替ヘッジ付のファンドが非常に売れる環境になってきた。しかし、国内の株式や債券に投資すれば為替リスクは取らずに済む。債券は非常に金利が低いものの、低迷期間の長かった日本株が見直され高配当株でインカム(配当)収入が得られれば、為替リスクなしである程度のリターンが望めるのではないか」と話す。

 高配当株式はパフォーマンスも魅力だ。「高配当株は日経平均株価をアウトパフォームする傾向が強い」と熊谷氏は指摘する。高配当と言っても石油や電力株といったセクターに偏ることなく、卸売や化学、情報・通信、電気機器など幅広い業種に分散しているのが特徴。モデルポートフォリオの組み入れ銘柄数は42で、配当利回りは3.1%(12年12月現在)。配当利回りの上昇は利回り狙いの買いを呼び込み、株価の下支え要因ともなる。

 一方、株式プレミアム戦略では、市場動向などに応じて日経平均の異なる権利行使価格のコール・オプションを売却(コールの売り)し、オプションのプレミアム収入獲得を目指す。こうした戦略を用いる同ファンドで最も利益が出るのは「株価が緩やかに上昇する場合」(熊谷氏)。株価が満期日に権利行使価格に到達していなければプレミアム収入を得ることができ、このとき高配当株も上昇していればその値上がり益と配当収入も得られるからだ。逆に株価が下落した場合でもプレミアム収入と高配当株の配当収入は得られるため、その分損失を軽減することが可能。

 株価が大幅に上昇し、権利行使価格以上になった場合はオプション取引による損失が発生するが、同ファンドの戦略では損失発生が少なくなるよう権利行使価格を選択する。具体的には200日移動平均線を用いて相場状況に応じ権利行使価格を変更するほか、タイミングを分散させるため毎日コール・オプションを売却。また、日経平均の価格変動率(ボラティリティ)が20%以下のときは相場上昇の可能性が高くなるため、コール・オプションの売却をしない。

<毎月分配にせず、キャピタルゲイン狙い>

 原資産のロング(買い)ポジションとコール・オプションの売却を組み合わせた「カバードコール戦略」のファンドが依然人気だが、こうしたファンドのなかにはプレミアム収入も毎月分配の配当原資にしているものがあり、分配金の支払いは基準価額の下落要因となる。しかし、同社が今回設定するファンドは毎月分配型にはしておらず、「キャピタルゲイン(値上がり益)重視」(熊谷氏)とする。

 同ファンドは基準価額が1万2000円以上になった場合、短期公社債、短期金融資産などによる安定運用に切り替え、繰り上げ償還を行う。同ファンドの過去の値動きをシミュレーションした結果によると過去11年間のリターンは年率9%程度だったとされる。新興国のように株価が短期間で倍になる可能性を秘めたマーケットが対象のファンドなら繰り上げ償還の仕組みである必要はないが、「失われた20年と言われるほど日本の株式は長く低迷してきたので、一度成功体験をしていただくためには20%ぐらいのリターンを2−3年で取りにいく方が良いと考えた」と熊谷氏は述べた。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。