総務省の「平成22年家計調査報告(家計収支)」(総世帯)によれば、夫婦高齢者世帯(無職)の平均消費支出費は月額22.8万円です。また、生命保険文化センターの調査(平成22年)では、夫婦2人で老後生活を送るために必要と考える最低日常生活費は同22.3万円と、ほぼ同額となります。一方、これに対して収入はどうかというと、「平成22年国民生活基礎調査の概況」では、高齢者世帯の1世帯当りの平均所得は25.6万円(年間307万円)で、なんとか生活できるように思えます(図1-3)。
ただ、生命保険文化センターの調査では、ゆとりある老後の生活費は36.6万円と、平均所得と大きな差が出ています。また、調査結果をよく見ると、公的年金でまかなえるのは月18万円(年額216万円)のみですから、最低ラインの生活に対して月5万円程度不足しています。ゆとりある生活のためにはさらに18万円ほども足りません。この不足分を補うのが稼動所得になります。月4万円ほどは老後も働かなくては最低ラインの生活もままならないという事実が浮かびあがってきます。そして、最後には貯蓄の取り崩しや、個人年金などに頼って生きていくことになります。
高齢就業者が働く理由は、経済上の理由がほとんどです(図1-4)。生きがいや、経験と時間を有効に生かして、ボランティアや趣味など好きなことをやって、いきいきと楽しく過ごせる人、そういう人たちはまだまだ少数なのです。
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