バンガード初の香港上場ETF、19日発売―アジア株に幅広く分散、コストは最安

 インデックスファンド最大手バンガードの香港上場ETF(上場投資信託)「バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF」が19日からSBI証券、マネックス証券、楽天証券の3社で販売される。バンガードはこれまで米国上場ETF12本を外国籍ETFとして日本で提供してきたが、香港上場ETFを取り扱うのは今回が初めて。アジア各国株式に分散投資する低コストのETFとして注目を集めそうだ。

<パッシブ運用最大手のバンガード、低コストが強み>

 同ETFは、アジア11カ国、700以上の銘柄で構成される「FTSEアジアパシフィック(除く日本・オーストラリア・ニュージーランド)インデックス」への連動を目指す。同ETFポートフォリオの銘柄組み入れ比率は時価総額加重平均で決定され、2014年1月31日時点の国・地域別組み入れ比率は、中国22.5%、韓国19.5%、香港15.6%などが上位。ポストBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の一角として注目されるASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国の比率も計18.3%と高く、アジアの新興国企業の成長を幅広く取り込むことが可能となっている。

 バンガードは指数への連動を目指すパッシブ運用の最大手であり、提供するインデックスファンドやETFの多くはコストが競合商品を下回り最も安い。日本で今回提供を開始する「バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF」も、日本の信託報酬にほぼ相当する「経費率」が0.38%と、低く抑えられている。同ETFと同様にアジアの新興国に幅広く分散投資する外国籍ETFで、すでに日本で購入可能となっている商品の経費率は0.59%がこれまで最安だったが、「バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF」はこれを大幅に下回る。

<世界で最も成長しているアジアETF市場、機関投資家も活用>

 2013年5月設定の同ETFはバンガードが初めて香港で上場した商品となる。バンガードがアジアのETF市場に参入した理由は、市場の伸びシロの大きさだ。バンガード・インベストメンツ・香港のETF部門ヘッド兼ディレクター、ダグ・ヨネス氏は、「アジアのETF市場は過去5年間に年率26%で成長し、世界で最も拡大している市場だ」と話す。

 アジアでは個人投資家のみならず、年金基金や政府系ファンドなどの機関投資家によるETFの活用が急速に進んでおり、バンガードはこうした機関投資家にETFの分散投資効果や流動性の高さ、コストの安さを説明し、普及を推進している。香港上場ETFはその多くが中国の株式に投資する商品だが、一段の普及を図るためには、「資産クラスの選択肢を広げる必要がある」とヨネス氏は言う。相場のトレンドを読んで利益獲得を狙うためのETFではなく、効率的なアセット・アロケーション(資産配分)を実現するためのツールとして利便性の高いETFを投入するのがバンガードの基本的な方針だ。

 アジア株に投資するETFで香港市場開拓に向けた布石を打ったバンガードだが、こうしたETFはいわゆる「コア・サテライト戦略」に活用される。例えば、時価総額の大きい先進国株をポートフォリオのコア(核)に据える一方、ETFを通じてサテライト(衛星)としてアジア株に投資することにより、コストを低く抑えながら分散効果を享受できる。

<マーケットの雑音は無視し、資産配分とコストを重視>

 2014年のマーケットは年初から一部新興国の通貨が急落し、その後値動きは落ち着いたものの、依然として先行きは不透明だ。だが、ヨネス氏は「マーケットの雑音は無視した方が良い。将来を予測することは投資を成功させるためのカギではない」とアドバイスする。資産運用においてより重要なのは適切なアセット・アロケーションと、「投資家が確実にコントロールできるコストを低く抑えることだ」という。

 同氏によると、先進国株と新興国株のPER(株価収益率)は、リーマン・ショック以降に連動を強めたが、2012年頃からカイ離し始めている。こうしたなか、低コストのETFを用いたポートフォリオの構築により、分散効果を得ることが一段と重要性を増しているとヨネス氏は話した。
提供:モーニングスター社
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