日興AMの「ブラジル株式ファンド」、純資産総額は94億円超まで拡大(2)

 日興アセットマネジメントの「ブラジル株式ファンド」(追加型/海外/株式)<2008061601>の2009年9月末時点での過去3カ月間のトータルリターンは19.19%と、同ファンドの類似ファンド分類「国際株式・エマージング」平均の13.72%を大きく上回った。ただ、この間ブラジル株式市場は大きく上昇しており、参考指標(ボベスパ指数)の20.65%を小幅に下回った。ブラジル株式を主要な投資対象とするファンド(全10ファンド、インデックス・ファンド1本を含む)の平均20.86%にはやや見劣りする内容となった。
 一方、過去1年間のトータルリターンは15.69%、参考指標の27.19%を下回り、ブラジル株式を主要投資対象とするファンド(全9本)のトータルリターン過去1年間25.51%を下回った。2008年後半の世界的な株価の急落時には銘柄選別でマイナスの影響が大きく出たものの、その後の上昇局面においては参考指標に対する劣後幅を縮めている。

 ブラジル株式を主要投資対象とするファンドに対しては、新興国の景気の早期回復期待やブラジル債券の格上げにより、ブラジル株式の中でも小売などの内需関連の中小型株に注目したファンドの上昇が大きかった。同ファンドでも、2009年9月末時点でブラジル国内の景気回復の恩恵を受ける生活必需品や一般消費財・サービスなど業種への積極的な組み入れを指向している(2009年9月末時点)。ただ、足元は石油・ガス、鉱業、銀行といった時価総額の大きな銘柄が組み入れ上位となっており、当面はこの組み入れ比率をおおむね維持する方針だ。

 また、外国企業と比較した指標面での割安感から大手エネルギー会社にも注目している。足元、ブラジル株式市場ではIPO(新規上場銘柄)が相次いでおり、これまでのブラジル株式市場では目立たなかった「不動産」などのセクターが注目されてきているが、同ファンドではイタウ社の豊富な調査力を生かし、調査対象にIPO銘柄も含めている。短期間に大きく上下したブラジル株式市場だが、イタウ社は調査力を生かした一貫性のあるポートフォリオ構築を行っており、その点も魅力だという。

 一方、ブラジル株式の上昇や急激なブラジル・レアル高などを背景に、ブラジルのマンテガ財務相は10月20日に金融取引税の引き上げを発表。株式や債券への投資に2.0%の課税を行うとした。日興アセットマネジメントでは、この税率引き上げに対して、一時的に為替や株式市場への反応がある可能性は否定できないとしつつ、ブラジルの中長期での成長性など勘案すると、投資魅力を損なうものではないとみている。
提供:モーニングスター社
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