大荒れ相場で投信に「買い」殺到、7年2カ月ぶり1兆円流入―10月推計資金流出入

<国内追加型株式投信は10カ月連続の資金流入、「ラップ」も好調>

 国内外のマーケットが“大荒れ”となった10月だったが、ファンドへの資金流入は衰えるどころか、急激に増加した。モーニングスターの独自推計によると、国内追加型株式投信の10月の純資金流出入額(ETF除く)は1兆375億円の純資金流入となり、直近で最高だった1月の9117億円を上回り、07年8月以来7年2カ月ぶりの1兆円乗せを達成した。流入超は年初から10カ月連続。純資金流入額をモーニングスター大分類別で見ると、1位は9月から変わらず「国際株式型」で4097億円と、全体をけん引した。さらに、9月まで4カ月連続で大幅な純資金流出となっていた「国内株式型」が10月は2248億円の純資金流入と、人気を急回復した。次いで、「国際REIT型」が1177億円、「国際債券型」が906億円の純資金流入と、海外資産として人気の“常連”カテゴリーも引き続き好調だった。

 また、ラップ口座専用ファンドへの資金流入が加速している点も見逃せない。純資金流入額は2308億円と、データが確認可能な1998年5月以降では最大となった。金融機関の間では従来の乗り換え販売促進の姿勢を改め、顧客からの預かり資産を重視する方針に転換する動きもあり、こうした流れの中でラップ口座専用ファンドが資金を集めている。

<第1位は「ピクテ 新興国インカム株式(毎月決算型)」>

 個別ファンドでは、「ピクテ 新興国インカム株式(毎月決算型)」が476億円の純資金流入で第1位となった。同ファンドは、10月まで13カ月連続の純資金流入を記録。毎月75円の分配金(1万口当たり・税引き前)を3年以上継続しており、高水準の分配金収入を期待した投資家の資金が流入している。同ファンドと同様に、毎月分配型ファンドが人気を集める傾向は不変。第2位は、「米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)H無」の429億円、第4位は、「野村 G高配当株プレミアム(通貨)毎月」の373億円となっており、海外株式に投資するファンドが台頭している。10月は米量的金融緩和が終了するなど金融緩和の「出口」に向けた動きも意識され始めたが、米金利は依然として低水準であり、欧州や日本も低金利が続くなか、高利回りを求める資金が高配当株ファンドなどに向かっている格好だ。

<乱高下した日経平均に収益機会>

 久しぶりに資金流入超となった国内株式ファンドだが、特に日経平均株価連動型ファンドが1308億円の純資金流入と1月以来の高水準となるなど存在感を発揮した。個別ファンドの上位では、「日経225ノーロードオープン」が320億円で第6位にランクイン。10月に日経平均株価は一時、大台の1万5000円を大きく割り込み、調整色を強めた。もっとも、その後は国内外の景気に対する過度に悲観的な見方が後退したほか、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の日本株への投資比率引き上げや日銀の追加緩和が好感され、10月31日の終値は1万6413円76銭と、07年11月以来約7年ぶりの高値を記録。大きく変動した相場を収益機会とみて資金が流入した可能性が高い。

<ハイ・イールド債券ファンドの流出傾向強まる>

 一方、資金流出傾向を強めているのがハイ・イールド債券ファンドだ。個別ファンドの純資金流出額上位を見ると、第1位は「フィデリティ・USハイ・イールドF」で194億円の純資金流出となった。同ファンドはハイ・イールド債券ファンドの代表格として7月まで7カ月連続で純資金流入を維持していたが、8月以降は3カ月連続で純資金流出となっている。カテゴリー別で見ても、同ファンドが属する「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」は213億円の純資金流出となり、「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」の302億円の純資金流出に次いで全カテゴリー中で2番目に大きい純資金流出額となっている。なお、個別ファンドの純資金流出額第2位となったのは、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」。同ファンドの純資産額は10月31日時点で1兆525億円と、1兆円割れが引き続き意識されている。
提供:モーニングスター社
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