97年4月以降最大の9877億円流出、国内株式ファンドで利益確定売り強まる―11月推計資金流出入
<11カ月ぶりの流出超、7年2カ月ぶりの1兆円台乗せから一転>
モーニングスターの独自推計によると、国内追加型株式投信(ETF除く)は11月に9877億円の純資金流出と、11カ月ぶりに流出超に転じ、データが確認可能な1997年4月以降では過去最大の純資金流出額を記録した。10月は2007年8月以来7年2カ月ぶりの1兆円台乗せを達成していたが、11月は一転して大規模流出となった。
<純資金流出額トップは「国内株式型」、日経平均株価連動型の流出目立つ>
国内投信における純資金流出入額をモーニングスター大分類別で見ると純資金流出額の第1位は「国内株式型」で6732億円と、純資金流出額全体の約3分の2を占める規模となった。11月の国内株式市場は日経平均株価が月間で6.37%上昇と大幅高となったことから、利益確定で国内株式ファンドを売却する動きが強まったとみられる。実際、国内投信における個別ファンドの純資金流出額上位を見ると、上位10ファンドのうち4本が「日経225ノーロードオープン」など日経平均株価連動型ファンドとなっており、値動きの分かりやすいインデックスファンドを相場上昇のタイミングで売却する動きが強まった。
特に月初は、10月末の日銀の追加金融緩和を受けた急激な円安・株高で国内株式ファンドの基準価額も大きく上昇し、いったん売却する動きが出やすかった。11月4日、5日の2日間だけで、国内株式ファンドは2744億円の純資金流出と、11月の純資金流出額全体の約3分の1に達した。その後も、株価が消費増税先送りと衆院解散・総選挙への思惑で上げ幅を拡大するなか、国内株式ファンドは資金流出が継続。結局、11月の全18営業日中で純資金流入となったのはわずか2日間のみだった。
<「国際債券型」が7カ月ぶり、「国際REIT型」は11カ月ぶりの純資金流出>
大分類別で「国内株式型」に続き純資金流出額が大きかったものは「国際債券型」と「国際REIT型」で、それぞれ3097億円、1992億円の純資金流出となった。純資金流出となるのは「国際債券型」が7カ月ぶり、「国際REIT型」は11カ月ぶり。「国際債券型」のなかでも流出規模が最も大きかったものはハイ・イールド債券に投資するファンドで、モーニングスターカテゴリー「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」は1533億円の純資金流出となった。
こちらも円安で基準価額が上昇したことから利益確定の動きが強まったとも考えられるが、ハイ・イールド債券、REITにはそれぞれ特有の要因もありそうだ。いずれもFRB(米連邦準備制度理事会)の量的金融緩和を受けて米金利が低下するなか、資金流入期待から買われてきた高利回り資産。10月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で量的金融緩和の終了が決定され、来年半ばにFRBは利上げに踏み切るとの見方が強いなか、資金がこれらのファンドに向かいにくくなっている可能性がある。個別ファンドの純資金流出額上位を見ても、第1位は「フィデリティ・USハイ・イールドF」で748億円の純資金流出、第2位は「新光 US−REITオープン」で644億円の純資金流出と、ハイ・イールド債券と海外REITに投資するファンドとなった。
<ラップ口座専用ファンドは33カ月連続の純資金流入>
一方、国内投信全体が大幅な資金流出となるなか、ラップ口座専用ファンドへの資金流入は継続している。純資金流入額は11月に1885億円と、33カ月連続の流入超を記録。10月の2308億円の純資金流入(データが確認可能な1998年5月以降では最大)からは鈍化したものの、依然として高水準の資金を集めている。国内投信における個別ファンドの純資金流入額上位を見ても、上位10ファンドのうち3本がラップ口座専用ファンドとなっている。ラップ口座は、バランス型ファンドに比べて、顧客の要望に応じて投資対象や配分を変えられる柔軟性が魅力で、残高を伸ばしている。特にここ半年の流入が目立ち、11月までに9437億円の純資金流入となった。
提供:モーニングスター社
モーニングスターの独自推計によると、国内追加型株式投信(ETF除く)は11月に9877億円の純資金流出と、11カ月ぶりに流出超に転じ、データが確認可能な1997年4月以降では過去最大の純資金流出額を記録した。10月は2007年8月以来7年2カ月ぶりの1兆円台乗せを達成していたが、11月は一転して大規模流出となった。
<純資金流出額トップは「国内株式型」、日経平均株価連動型の流出目立つ>
国内投信における純資金流出入額をモーニングスター大分類別で見ると純資金流出額の第1位は「国内株式型」で6732億円と、純資金流出額全体の約3分の2を占める規模となった。11月の国内株式市場は日経平均株価が月間で6.37%上昇と大幅高となったことから、利益確定で国内株式ファンドを売却する動きが強まったとみられる。実際、国内投信における個別ファンドの純資金流出額上位を見ると、上位10ファンドのうち4本が「日経225ノーロードオープン」など日経平均株価連動型ファンドとなっており、値動きの分かりやすいインデックスファンドを相場上昇のタイミングで売却する動きが強まった。
特に月初は、10月末の日銀の追加金融緩和を受けた急激な円安・株高で国内株式ファンドの基準価額も大きく上昇し、いったん売却する動きが出やすかった。11月4日、5日の2日間だけで、国内株式ファンドは2744億円の純資金流出と、11月の純資金流出額全体の約3分の1に達した。その後も、株価が消費増税先送りと衆院解散・総選挙への思惑で上げ幅を拡大するなか、国内株式ファンドは資金流出が継続。結局、11月の全18営業日中で純資金流入となったのはわずか2日間のみだった。
<「国際債券型」が7カ月ぶり、「国際REIT型」は11カ月ぶりの純資金流出>
大分類別で「国内株式型」に続き純資金流出額が大きかったものは「国際債券型」と「国際REIT型」で、それぞれ3097億円、1992億円の純資金流出となった。純資金流出となるのは「国際債券型」が7カ月ぶり、「国際REIT型」は11カ月ぶり。「国際債券型」のなかでも流出規模が最も大きかったものはハイ・イールド債券に投資するファンドで、モーニングスターカテゴリー「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」は1533億円の純資金流出となった。
こちらも円安で基準価額が上昇したことから利益確定の動きが強まったとも考えられるが、ハイ・イールド債券、REITにはそれぞれ特有の要因もありそうだ。いずれもFRB(米連邦準備制度理事会)の量的金融緩和を受けて米金利が低下するなか、資金流入期待から買われてきた高利回り資産。10月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で量的金融緩和の終了が決定され、来年半ばにFRBは利上げに踏み切るとの見方が強いなか、資金がこれらのファンドに向かいにくくなっている可能性がある。個別ファンドの純資金流出額上位を見ても、第1位は「フィデリティ・USハイ・イールドF」で748億円の純資金流出、第2位は「新光 US−REITオープン」で644億円の純資金流出と、ハイ・イールド債券と海外REITに投資するファンドとなった。
<ラップ口座専用ファンドは33カ月連続の純資金流入>
一方、国内投信全体が大幅な資金流出となるなか、ラップ口座専用ファンドへの資金流入は継続している。純資金流入額は11月に1885億円と、33カ月連続の流入超を記録。10月の2308億円の純資金流入(データが確認可能な1998年5月以降では最大)からは鈍化したものの、依然として高水準の資金を集めている。国内投信における個別ファンドの純資金流入額上位を見ても、上位10ファンドのうち3本がラップ口座専用ファンドとなっている。ラップ口座は、バランス型ファンドに比べて、顧客の要望に応じて投資対象や配分を変えられる柔軟性が魅力で、残高を伸ばしている。特にここ半年の流入が目立ち、11月までに9437億円の純資金流入となった。
提供:モーニングスター社