国内投信全体は4カ月連続の純資金流入、ラップ口座専用は過去最高の流入額

 モーニングスターの独自推計によると、国内追加型株式投信(ETF除く)は2015年3月に9986億円の純資金流入と、2カ月ぶりに約1兆円を記録し、4カ月連続の流入超となった。従来から人気のあった「国際株式型」や「国際REIT型」への資金流入が加速したほか、「ラップ型ファンド」を中心に資金を集めた「バランス型」と「国内REIT型」がいずれも1000億円台と高水準の純資金流入額を記録しており、幅広い資産に対して投資意欲が高まっている。また、全体の資金流入増加に引き続き寄与しているのがラップ口座専用ファンドで、3月は2670億円と過去最高の純資金流入額を記録した。

 国内投信における純資金流出入額をモーニングスター大分類別で見ると、流入額上位は、第1位が「国際株式型」で3958億円、第2位は「国際REIT型」で2043億円、第3位は「バランス型」で1626億円となった。目を引くのは「バランス型」の資金流入拡大。3月の純資金流入額は2年1カ月ぶりの高水準となる。けん引役は比較的新しいファンドで、バランス型ファンドの純資金流入額トップ10すべてが2012年以降に設定されている。「コア投資戦略ファンド(成長型)」<2012080702>や「スマート・クオリティ・オープン(安定型)」<2014111404>など、投資家のリスク許容度に応じてコースが選べるいわゆる「ラップ型ファンド」がランクイン。3月の新規設定ファンドである「みずほラップファンド」は「堅実型コース」<2015033108>「安定成長型コース」<2015033109>「成長型コース」<201503310A>の全コースがトップ10入りした。富裕層をターゲットとしたラップ口座が注目を集める中、少額で購入可能なラップ型ファンドにも人気が波及している格好だ。

<「国内REIT」、純資金流入額は1年6カ月ぶりの高水準>

 純資金流出入額をモーニングスターカテゴリー別でみると、流入額上位は、第1位が「国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし)」で1604億円、第2位が「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」で1266億円、第3位が「国内REIT」で1154億円となっている。「国内REIT」の3月の純資金流入額は1年6カ月ぶりの高水準。以前から人気が高かった国際REITだけでなく、国内REITへの資金流入も顕著となってきている。長期金利の上昇を受けた資金調達コスト上昇への懸念から、東証REIT指数は3月に2.15%下落とさえない展開となったが、日銀のJ−REIT買い入れなどにより長期的には堅調推移を見込む向きが多く、旺盛な資金流入となった。

 一方、純資金流出額上位は、第1位が「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」で603億円、第2位が「国内大型ブレンド」で586億円、第3位が「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」で338億円となった。「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」は6カ月連続の純資金流出。2014年11月に1000億円を超える純資金流出額を記録したあと、いったん流出額は縮小したものの、3月は再び拡大した。ただし、同カテゴリーに属するファンドでも、流出上位は米国のハイ・イールド債券に投資するファンドが目立つ一方、流入上位はアジアや欧州のハイ・イールド債券に投資するファンドが中心であり、国・地域で選別する姿勢が強まっている。

<「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」、設定来で過去最大の純資金流入額>

 個別ファンドの純資金流出入額を見ると、流入額上位は、第1位が「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」<2004022702>で1049億円、第2位が「アジア・オセアニア好配当成長株(毎月)」<2005102701>で711億円、第3位が「アジア好利回りリート・ファンド」<2011093007>で568億円となった。「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」は2004年2月の設定来で過去最大の純資金流入額となる。1つのファンドが1カ月で1000億円以上の純資金流入を達成したのは2014年8月以来となる。「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」のモーニングスターレーティングは2015年2月末時点で最高の5ツ星と、長期でリスクを抑えながら高いリターンを達成している。

 一方、個別ファンドの純資金流出額上位は、第1位が「ドイチェ・高配当インフラ関連株(米ドル)毎」<2010102802>で246億円、第2位が「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」<1997121801>で187億円、第3位が「GS ハイ・イールド・ボンド・ファンド」で153億円となった。「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」<2004091702>は2015年3月末時点の純資産額が1兆113億円と、大台の1兆円割れが迫っている。
提供:モーニングスター社
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