8月危機を乗り切ったピクテの「クアトロ」―ファンドマネジャーがみすえる米国と新興国の今後

 ピクテ・アセット・マネジメント(スイス)のシニア・インベストメント・マネジャー、バランス運用チーム・ヘッドのエリック・ロセ氏(以下、ロセ氏)はこのほどモーニングスターのインタビューに応じた。実質的にロセ氏がマザーファンドの運用を行うピクテ投信投資顧問のバランス型ファンド「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・F」『愛称:クアトロ』<2013121201>は、ヘッジファンドなども含めた幅広い資産に分散投資を行うほか、市場環境に応じた機動的な資産配分比率の変更で、下落リスクを抑制した“負けない運用”を目指している点が最大の特徴だ。

 実際に、世界同時株安が起こった8月の当ファンドのトータルリターンは1.55%のマイナスと、カテゴリー平均を1.42%上回り、月次では過去1年間の対カテゴリー平均で最も良好な相対パフォーマンスとなった。ロセ氏によると、「8月の世界同時株安の際は債券の組み入れ比率を高めに維持し、リスク水準を低位にする対応を行った」とのことで、マザーファンドが市場分析で用いる4つの指標のうち、中央銀行による資金供給量などの「流動性」とテクニカル指標などの「センチメント」の変化をいち早く察知し、下落相場への警戒を強めたことが奏功したという。

 また、当ファンドは年率3−5%のリターン(信託報酬控除後)を目標としているが、ロセ氏は「円ベースでのリターンをどのように高めるか」を特に重視しているという。ピクテが本拠を置くスイスは超低金利である点に加え、「通貨高に苦しめられてきた歴史を持つ点で日本と似ている」といい、スイスで培ったノウハウを活用できるとした。実際に、10月末時点では円ヘッジ資産を含めると約7割が実質的な円資産となっている。8月は円高が加速するなか、他のファンドに比べ円資産を多めに組み入れていたことが相対パフォーマンスを押し上げる一因となった。

 今後の投資戦略についてロセ氏は「中央銀行の資金供給量と株価には連動性があることから、量的金融緩和が終了した米国の株式はアンダーウエートにしている」とした。一方、新興国については「中国経済に対して市場は悲観的だが、構造改革が実行されれば市場の予想以上に景気が回復し、新興国全体はポジティブに反応するだろう」との見方を示した。こうした見通しがファンドの運用成績にどのように反映されていくか、引き続き注目される。

 なお、ロセ氏を中心としたバランス運用チームは、スイスの年金基金や富裕層向けに約80億スイスフラン(約1兆円)の資産を運用している。モーニングスターの調べでは、ロセ氏が単独または共同で運用する外国籍のオープンエンドファンド(最も設定が古いシェアクラスが対象)のうち、10月末時点でモーニングスターレーティングが付与されているのは3本で、最高評価となる5つ星が2本、4つ星は1本と、海外でも高評価を得ている。
提供:モーニングスター社
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