アベノミクス相場で明暗分かれた日本株運用―3年間で4.4倍のリターンを上げたアクティブファンドも

 12年11月中旬に始まった「アベノミクス相場」はそのスタートから約3年が経過した。きっかけの一つとなったのが同月16日の民主党の野田前首相による衆議院解散である。政権交代の機運が高まるなか、解散を機にアベノミクスへの期待が株式市場を一気に浮揚させた。投信の世界では、こうした上昇相場においてアクティブファンドが実力を発揮するというのが通説であるが、実際にこの期間、日本株を投資対象とするアクティブファンドがどのような成績を残したかを振り返ってみたい。当記事では、アベノミクス相場を12年11月16日から15年11月16日の3年間と定義し、同期間の日本株アクティブファンド(注)の累積リターンを比較した。

 参考までに、同期間のTOPIX(東証株価指数、配当込み)の累積リターンは121.65%であった。指数はファンドと異なり信託報酬等が含まれない点や、今回の分析対象には中小型株ファンドや通貨選択型ファンドなどが含まれる点には留意が必要であるものの、分析対象の394本中これを上回ったのは179本(約45%)にとどまった。残念ながら、これほどの上昇相場においてもアクティブファンドの半数は市場平均に勝てないという結果を示す形となった。

 しかし、市場平均の2倍以上のリターンを上げたファンドも存在する。同期間の累積リターンで第1位となったのは、DIAMの「証券ジャパン日本株オープン」<2004021001>で337.31%であった。購入時手数料と税金を考慮しなければ、3年間で投資資金が約4.4倍になったという計算になる。同ファンドの「市場動向の変化に合わせて株式の組入比率を0−100%の間で弾力的に調整する」という投資戦略が奏功し、他のファンドを大きく上回るパフォーマンスを残した。

 第2位はDIAMの「DIAM 新興市場日本株ファンド」<2007112902>で278.61%、第3位はJPモルガンの「JPM 店頭株オープン‘96」<1996031501>で242.52%と、いずれも新興市場に上場する中小型株を主要投資対象とするファンドが続いた。対照的に、最下位のファンドは同期間の累積リターンが52.89%と、第1位のファンドと6倍以上の差が開き、明暗が分かれた。

 (注)=国内追加型株式投信(確定拠出年向けおよびラップ口座専用、ETF等除く)のうち、12年11月16日以前に設定された日本株のアクティブファンドのうち、15年11月16日時点でも運用が継続されており、いずれの時点でもモーニングスター大分類「国内株式型」に分類されるファンド394本を分析対象とした。
提供:モーニングスター社
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