価格変動が大きく我慢の1年にマルチ・アセット戦略が最適=アリアンツ・グローバル・インベスターズ(下)

 アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのマルチ・アセットCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)であるシュテファン・ニクセル氏に、当面の市場見通しについて聞いた。

 (上)からつづく

 ――当面の世界市場について展望してください。オーバーウエートにする資産クラス、また、アンダーウエートにする資産クラスは?

 通常であれば3−6カ月ほどのタイムホライズンで戦略を考えますが、現在は1−3カ月程度の短い期間で考えなければならなくなっています。リスク管理に徹した運用を行っています。

 株式を中心にリートやコモディティーなど投資リスクが高い資産クラスはアンダーウエートにしています。エマージング市場にも改善の兆しがなく、ブラジル、ロシア、中国など悲観的に見ています。米国、英国もアンダーウエートです。株式全般に良くないのですが、その中にあって比較的魅力があるのは、日本株と欧州株です。

 反面、各国の国債は魅力的で、オーバーウエートにしています。特に欧州の周縁国であるスペインやイタリアの国債に魅力が増しています。

 ――2016年の市場はマルチ・アセット戦略にとって、15年と比較してリターンが出やすい市場と見ていますか?

 2016年を一言で言い表すと、「我慢の年」といえます。リターンに関しては、2015年とあまり変わらないリターンになるのではないかと思います。ボラティリティが高いため、債券市場に資金を寄せざるを得ませんが、債券の利回りが低くリターンの水準を上げるのが難しい状況です。

 世界的に低金利と低インフレが広がり、経済成長には逆風が強まっているため、リスクマネジメントをしっかり行って、投資機会の到来を待つ局面だと思います。

 このような難しい環境にあって、資産を保全し、同時に収益機会は逃さないという意味で、マルチ・アセット戦略は良い投資機会になると思います。
提供:モーニングスター社
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