価格変動が大きく我慢の1年にマルチ・アセット戦略が最適=アリアンツ・グローバル・インベスターズ(上)
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのマルチ・アセットCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)であるシュテファン・ニクセル氏は、昨年5月に東京オフィスに着任し、マルチ・アセット戦略の運用を担当している。さまざまな資産に分散投資し、その投資配分比率をアクティブに変更することによって収益を重ねるマルチ・アセット戦略は、年初から荒れている2016年をどのようにとらえているのか、ニクセル氏に聞いた。
――昨年5月から東京オフィスに着任したということですが、東京オフィスでは、どのような職務をおもに担当されていますか?
アリアンツ・グローバル・インベスターズは、本拠を置く欧州においてマルチ・アセット戦略のトップクラスのプレーヤーとして認められ、マルチ・アセットの運用拠点を、アメリカ、アジアへと拡大し、世界の市場をカバーしようとしています。
アメリカではニューヨークに拠点を設け、グローバルCIOが赴任して拠点整備にあたっています。アジアの拠点としては、マーケットサイズが大きい日本を選び、わたしが赴任することになりました。この東京オフィスは、将来的には香港、台湾、シンガポール、中国本土にある現地法人で販売するファンドの運用も担う拠点として期待されています。
東京に赴任して1年も経過していませんが、昨年末にマルチ・アセット戦略の新ファンドを2本設立することができました。1本は日本国籍のファンド「ダイナミック・マルチアセット・プラス・ファンド(JPY)」、もう1本はルクセンブルク籍のファンドです。私は、東京オフィスにおいて、これらファンドの運用を担当しています。
――東京に来て、日本の景況感に対する感じ方に変化はありましたか?
もちろん、日本で生活するようになって、さまざまな気づきがありました。まず、日本は20年におよぶ実質ゼロ成長が続いているにもかかわらず、日本の生活水準は高くキープされ、失業率も実質的にゼロ%を維持しているという実態に驚きました。
アベノミクスについても研究していますが、これまでのところ的確なアクションがとられてきているように思います。また、日銀の金融政策も、インフレ率を上げることに苦心していますが、原油価格が大きく下落するという逆風を受けながら、良くやっていると評価できると思います。原油価格は、ここから下落しても、これまでと比べると下げ幅は穏やかなものになるので、日銀の金融緩和策も緩やかに効果が表れてくるでしょう。
――2016年は年初から世界的な株安、そして、日銀のマイナス金利導入など、さまざまな変化があります。足元の運用環境について、どのように考えていますか?
年初から起こっている変化は、すでに昨年から始まっている変化の延長線上にあると思います。2012年から14年まで、リスクオンで市場の上昇が続いていましたが、15年にはその上昇に陰りがでました。2016年は、15年と似たような動きになると思っています。すなわち、ボラティリティ(価格の変動率)のレベルが高い状況が続くでしょう。
ボラティリティの高さには2つの側面があります。一つは、価格変動によるリスクが高まるということですが、もう一方で、投資機会が生まれるという側面もあります。マルチ・アセット戦略は、ボラティリティの高い市場にあってのソリューションを提供できると思います。
マルチ・アセット戦略は、富裕層向けの資産運用管理機能をギュッと凝縮したサービスということができます。幅広い資産に分散投資し、資産配分比率をアクティブに変更します。ボラティリティが高い市場にあっては、資産配分比率を大胆に動かします。また、キャッシュの比率を高めてリスク回避に努めることもあります。このリスク管理機能が、マルチ・アセット戦略の柱のひとつといえますから、ボラティリティの大きな市場に適合した戦略であるということができます。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社
――昨年5月から東京オフィスに着任したということですが、東京オフィスでは、どのような職務をおもに担当されていますか?
アリアンツ・グローバル・インベスターズは、本拠を置く欧州においてマルチ・アセット戦略のトップクラスのプレーヤーとして認められ、マルチ・アセットの運用拠点を、アメリカ、アジアへと拡大し、世界の市場をカバーしようとしています。
アメリカではニューヨークに拠点を設け、グローバルCIOが赴任して拠点整備にあたっています。アジアの拠点としては、マーケットサイズが大きい日本を選び、わたしが赴任することになりました。この東京オフィスは、将来的には香港、台湾、シンガポール、中国本土にある現地法人で販売するファンドの運用も担う拠点として期待されています。
東京に赴任して1年も経過していませんが、昨年末にマルチ・アセット戦略の新ファンドを2本設立することができました。1本は日本国籍のファンド「ダイナミック・マルチアセット・プラス・ファンド(JPY)」、もう1本はルクセンブルク籍のファンドです。私は、東京オフィスにおいて、これらファンドの運用を担当しています。
――東京に来て、日本の景況感に対する感じ方に変化はありましたか?
もちろん、日本で生活するようになって、さまざまな気づきがありました。まず、日本は20年におよぶ実質ゼロ成長が続いているにもかかわらず、日本の生活水準は高くキープされ、失業率も実質的にゼロ%を維持しているという実態に驚きました。
アベノミクスについても研究していますが、これまでのところ的確なアクションがとられてきているように思います。また、日銀の金融政策も、インフレ率を上げることに苦心していますが、原油価格が大きく下落するという逆風を受けながら、良くやっていると評価できると思います。原油価格は、ここから下落しても、これまでと比べると下げ幅は穏やかなものになるので、日銀の金融緩和策も緩やかに効果が表れてくるでしょう。
――2016年は年初から世界的な株安、そして、日銀のマイナス金利導入など、さまざまな変化があります。足元の運用環境について、どのように考えていますか?
年初から起こっている変化は、すでに昨年から始まっている変化の延長線上にあると思います。2012年から14年まで、リスクオンで市場の上昇が続いていましたが、15年にはその上昇に陰りがでました。2016年は、15年と似たような動きになると思っています。すなわち、ボラティリティ(価格の変動率)のレベルが高い状況が続くでしょう。
ボラティリティの高さには2つの側面があります。一つは、価格変動によるリスクが高まるということですが、もう一方で、投資機会が生まれるという側面もあります。マルチ・アセット戦略は、ボラティリティの高い市場にあってのソリューションを提供できると思います。
マルチ・アセット戦略は、富裕層向けの資産運用管理機能をギュッと凝縮したサービスということができます。幅広い資産に分散投資し、資産配分比率をアクティブに変更します。ボラティリティが高い市場にあっては、資産配分比率を大胆に動かします。また、キャッシュの比率を高めてリスク回避に努めることもあります。このリスク管理機能が、マルチ・アセット戦略の柱のひとつといえますから、ボラティリティの大きな市場に適合した戦略であるということができます。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社