分かりやすく、低リスク、低コストの「JPファンド」を広めたい=JP投信社長の清野佳機氏に聞く(上)
15年8月に設立した「JP投信」が船出する。同社が設定・運用するファンドが2月18日に設定され、22日から取り扱いを開始した。JP投信代表取締役社長の清野佳機氏は、新規設定ファンドについて「投資するためのハードルが低い、低リスク、低コストで、ゆうちょ銀行や郵便局で投信を購入されるお客さまのニーズに徹底してこだわった商品。お客さま本位に考え抜いた商品を形にして、郵便局から投信市場に変革を持ち込みたい」と語っている。
――「JP投信」設立の狙いについて改めてうかがいます。ゆうちょ銀行、郵便局で取り扱っている投信は、国内外の運用会社から商品の提供を受け、順調に預かり資産残高を伸ばしてきました。日本郵政グループ内に投信会社を作った狙いは?
銀行の投信窓販が1998年に始まって約17年が経過しました。郵便局は2005年から投信の取り扱いを始め、昨年10周年を迎えました。「貯蓄から投資へ」という資産運用の時代を促すエンジンとして期待された「窓販」ですが、統計数値をみると、銀行の預金残高に占める投信残高は3−4%です。一方、ゆうちょ銀行と郵便局では、窓販の開始が遅かったこと、また、郵便貯金残高が大きいこともあると思いますが、貯金残高に対し投信残高は0.6%に過ぎません。
投信窓販10周年で振り返り見た時に、ゆうちょ銀行や郵便局を通じて、まだまだ広く投資を呼びかけることができるのではないかと感じました。そこで、現状を分析すると、貯蓄から投資への流れを妨げているハードルがあることが分かりました。
ゆうちょ銀行や郵便局で取り扱う投信は、広く国内外の運用会社から提供を受けていますが、門戸を大きく開いて、独自性の高い、優れた商品を採用することができるというメリットがある反面、例えば、バランス商品にしても、多くの商品が開発されていますが、各AM会社は独自性を出すために、一ひねり二ひねりした工夫を凝らした商品になりがちです。その分、このような商品は初めて投資をするお客さまには商品内容が分かりにくく、窓口の説明に負荷のかかる商品になってしまうという傾向がありました。
もう一つは、運用コストです。高付加価値の商品は、それに見合ってコストも高くなりがちです。貯金の金利がゼロ%台の時に、毎年1%を超えるような運用コストがかかってしまうと、預け替えにちゅうちょする気持ちが出てしまいます。世界的な低金利で期待リターンも低くなっているので、極限にまで低い運用コストの商品が出せないかと考えました。
ゆうちょ銀行や郵便局への商品供給にあたりわれわれが考えたことは、「投資をしたことがない方にも分かりやすい、シンプルな商品で、徹底的に運用コストを抑えた商品」です。このような商品を直接お客さまに接している販売員の意見を聞きながら商品や販売用資料に反映させていくために、グループ内に運用会社を立ち上げ、「JP」ブランドで作っていくしかないと考えました。
――昨年7月に三井住友信託銀行、および、野村ホールディングスとの業務提携を発表して以来、商品開発をめぐって検討を重ねてきたことと思います。信託銀行と証券会社という異なる業態からパートナーを得て共同で一つのことに取り組んできましたが、両社との連携について、どのように評価していますか?
「JP投信」の立ち上げにあたって、業界の雄として活躍されている2社に参加いただいたことは、大変心強いことでした。運用の面、また、販売の面で日本郵政グループでは足りない部分を補っていただいています。
また、日本郵政グループから「投信」に新しい流れを作って業界を変えていきたいという「JP投信の志」に賛同いただいて参画してもらっています。それぞれのグループをあげて全面支援していただき、人材の面、ノウハウの面、また、実際の商品開発にあたっての仕組みづくりや運営支援など、さまざまな形でサポートしていただいています。パートナーには本当に恵まれたと思っています。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社
――「JP投信」設立の狙いについて改めてうかがいます。ゆうちょ銀行、郵便局で取り扱っている投信は、国内外の運用会社から商品の提供を受け、順調に預かり資産残高を伸ばしてきました。日本郵政グループ内に投信会社を作った狙いは?
銀行の投信窓販が1998年に始まって約17年が経過しました。郵便局は2005年から投信の取り扱いを始め、昨年10周年を迎えました。「貯蓄から投資へ」という資産運用の時代を促すエンジンとして期待された「窓販」ですが、統計数値をみると、銀行の預金残高に占める投信残高は3−4%です。一方、ゆうちょ銀行と郵便局では、窓販の開始が遅かったこと、また、郵便貯金残高が大きいこともあると思いますが、貯金残高に対し投信残高は0.6%に過ぎません。
投信窓販10周年で振り返り見た時に、ゆうちょ銀行や郵便局を通じて、まだまだ広く投資を呼びかけることができるのではないかと感じました。そこで、現状を分析すると、貯蓄から投資への流れを妨げているハードルがあることが分かりました。
ゆうちょ銀行や郵便局で取り扱う投信は、広く国内外の運用会社から提供を受けていますが、門戸を大きく開いて、独自性の高い、優れた商品を採用することができるというメリットがある反面、例えば、バランス商品にしても、多くの商品が開発されていますが、各AM会社は独自性を出すために、一ひねり二ひねりした工夫を凝らした商品になりがちです。その分、このような商品は初めて投資をするお客さまには商品内容が分かりにくく、窓口の説明に負荷のかかる商品になってしまうという傾向がありました。
もう一つは、運用コストです。高付加価値の商品は、それに見合ってコストも高くなりがちです。貯金の金利がゼロ%台の時に、毎年1%を超えるような運用コストがかかってしまうと、預け替えにちゅうちょする気持ちが出てしまいます。世界的な低金利で期待リターンも低くなっているので、極限にまで低い運用コストの商品が出せないかと考えました。
ゆうちょ銀行や郵便局への商品供給にあたりわれわれが考えたことは、「投資をしたことがない方にも分かりやすい、シンプルな商品で、徹底的に運用コストを抑えた商品」です。このような商品を直接お客さまに接している販売員の意見を聞きながら商品や販売用資料に反映させていくために、グループ内に運用会社を立ち上げ、「JP」ブランドで作っていくしかないと考えました。
――昨年7月に三井住友信託銀行、および、野村ホールディングスとの業務提携を発表して以来、商品開発をめぐって検討を重ねてきたことと思います。信託銀行と証券会社という異なる業態からパートナーを得て共同で一つのことに取り組んできましたが、両社との連携について、どのように評価していますか?
「JP投信」の立ち上げにあたって、業界の雄として活躍されている2社に参加いただいたことは、大変心強いことでした。運用の面、また、販売の面で日本郵政グループでは足りない部分を補っていただいています。
また、日本郵政グループから「投信」に新しい流れを作って業界を変えていきたいという「JP投信の志」に賛同いただいて参画してもらっています。それぞれのグループをあげて全面支援していただき、人材の面、ノウハウの面、また、実際の商品開発にあたっての仕組みづくりや運営支援など、さまざまな形でサポートしていただいています。パートナーには本当に恵まれたと思っています。
(下)へつづく
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