<★★★★★>三菱UFJ海外債券オープン、長期にわたって高いリターンを重ねるチーム運用力に磨き

 三菱UFJ国際投信が運用する「三菱UFJ 海外債券オープン(3カ月決算型)」(愛称:四季の恵み(海外債券))<2002020502>(★★★★★、評価基準日=3月31日)は、16年3月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの5つ星になった。特に、3年(年率)トータルリターンが8.06%と、カテゴリー(国際債券・グローバル・除く日本)平均(3.31%)を大きく上回っている。ファンドの特徴について、三菱UFJ国際投信 債券運用部 グループリーダー兼チーフファンドマネジャーの下村英生氏に聞いた。

 ――「四季の恵み(海外債券)」は、02年2月の設定から、過去10年(年率)、5年(年率)、3年(年率)と、いずれの期間でみてもトータルリターンがカテゴリー平均を上回り、カテゴリー平均よりも抑えたリスクで運用している。運用の特徴は?

 ファンドは、日本を除く世界主要国の公社債(国債、国際機関債、A格以上の社債等)を中心に運用している。各国のマクロ分析や金利予測に基づき、国別投資比率、デュレーション、および、残存年数のコントロール、利回り格差などに着目し、銘柄を選択し、超過収益の獲得をめざしている。投資対象債券や投資比率などに特段の制限はないため、幅広い外国債券を対象にして柔軟で機動的な運用が可能だ。

 たとえば、ファンドの設立当初は、「欧州国債」とひとくくりにできた欧州の国債は、2010年の欧州ソブリン危機を契機に各国の国債の動きが変化し、利回り格差も生まれている。国別のマクロ分析によって欧州の国債でも組み入れに強弱をつけている。また、国債と非国債の組み入れウエートも、地域や国別にきめ細かく確認して投資する。

 アクティブファンドとして、日々さまざまなデータを検証している。そして、国別のマクロデータ、金融政策の動向、市場取引動向など、そのトレンドや変化について運用チームで徹底的に調査・分析・議論して確信度の高い見通しに基づいて運用戦略を策定している。情報化の進展によって、各国のデータや要人発言などの情報はあふれるほどに存在するが、その中から本質的に重要な情報を絞り込み、運用チームで議論した結果を「フォーカスポイント」にまとめて共有化するということを定期的に行っている。

 チームメンバーは、地域別、債券種別など、それぞれ役割を持って運用に参加しているが、「フォーカスポイント」の議論に加わることによって、チームとして統一した考えの下で行動することができる。外債のチーム運用を行ううえで、「フォーカスポイント」を共有化するという体制を築きあげてきたことで、中・長期的での超過収益の最大化を目指す効率的な運用ができる基盤になっていると思う。

 ――リスク管理の考え方は?

 当ファンドはシティ世界国債インデックス(除く日本・円ベース)を上回る投資成果を目指して運用を行っている、短期的な市場のボラティリティーの高まりは許容し、中・長期的に市場の構造的な変化が起きていないかを重点的にチェックしている。

 また、ボラティリティーが低くリスクが取れる市場では、集中投資によって意識的に思い切った選択をすることも重要になると考えている。その時々の市場環境に応じてリスクの取り方を選択的に行うようにしている。たとえば、現在は世界的に債券の期待リターンが低下してきているため、国際機関債や高格付け社債など非国債の運用に力を入れている。

 ――当面の市場の見方と運用方針は?

 現在の低インフレ、低金利の状態はかなり続くと考えている。世界的にさらなる金融緩和策がとられることが考えられるため、金融政策や財政政策などグローバルな政策協調がどの程度効果的に機能するかについては注意深く見守っている。

 低金利によって新興国債券の期待リターンの魅力が増しているが、リスクオフの局面では為替を含む新興国債券のリスクが相対的に高まるため、新興国債券への投資タイミングを見極めている。ポートフォリオ全体として機動力を高めるポジションをとっていて、現在は流動性の高い米国債市場のほか、欧州ではイタリア市場での運用を手厚くしている。

 また、国債と非国債では、非国債である社債などの役割が拡大していく方向にあると見ている。社債への投資によって国債利回り+αのリターンを獲得し、ファンド全体のパフォーマンスを引き上げていきたいと考えている。

 当ファンドのようにベーシックな運用を行うファンドは、コア資産として中・長期に投資していただくファンドに位置づけられると思う。チーム運用の良さを生かし、長期的に一貫性のある運用を実現できる体制を構築してきた。引き続き、リスクをコントロールしながら、高いトータルリターンの獲得をめざして運用していく。
提供:モーニングスター社
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