<★★★★★>SMAM「インド債券ファンド」、政治・物価の安定と高経済成長でインド債券に大きな魅力

 三井住友アセットマネジメントが設定・運用する「インド債券ファンド(毎月分配型)」<2012053105>は、7月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの★★★★★になった。6月末に格上げ後2カ月連続の最高格付け。3年(年率)トータルリターンが6.15%とカテゴリー(国際債券・エマージング・単一国<F>)の平均(−0.82%)を大きく上回っている。同ファンドの特徴、また、インド債券の魅力について、三井住友アセットマネジメント外部委託運用グループ副ヘッドの高野吉生氏に聞いた。

 ――ファンドの特徴は?

 主としてインドの債券に投資し、安定的な金利収益の確保と信託財産の成長をめざしている。国債、政府機関債、地方債、社債など幅広い債券に投資する。また、インドルピー建ての債券の他、米ドル建ての債券にも投資するが、米ドル建て債券に投資をする場合は、実質的にインドルピー建てとなるように為替取引を行う。対円での為替ヘッジは行わないため、円/ルピーの為替変動の影響を受ける。

 実質的な運用はインドのトップクラスの総合金融グループであるコタック・マヒンドラグループ傘下のコタック・マヒンドラ銀行の子会社である運用会社、コタック・マヒンドラ(UK)が担当している。

 ――インド債券の魅力は?

 インドは新興国の中でも、中国を上回る年率7%台の経済成長率で、今後も高い成長が期待される国だ。その根拠の1つは人口増。中でも15−65歳までの生産年齢人口の推移はポイントになる。中国では既に全人口に占める生産年齢人口比率が低下しているが、インドは2040年頃に向けて生産年齢人口比率が一段と拡大する見通し。

 また、14年に誕生したモディ政権は、単独政権として各種経済改革を矢継ぎ早に実施し、財政赤字の縮小、インフレ抑制などで経済ファンダメンタルズを改善する一方、インフラ整備の充実や外国企業の誘致など、インドの成長を促す各種政策を強力に実行している。そして、連邦政府の消費税である物品・サービス税(GST)の導入を進めている。効率的な税体系の導入によって経済活動が一段と活発化すると期待される。

 一方、債券市場は、ここ数年でインフレ率が低下し、安定したことで堅調だ。6月末現在で政策金利は6.5%、ルピー建て国債利回りは7.6%の水準にあるが、今後、良好な経済成長や財政赤字の縮小などを背景に、債券利回りの低下(債券価格の上昇)が期待される。

 加えて、インドには信用格付けの格上げ期待がある。2011年12月にムーディーズが長期債格付けを投資適格の「Baa3」に格上げしたが、モディ政権誕生後のファンダメンタルズの改善を評価し、15年4月にアウトルックを「安定的」から「ポジティブ」に引上げた。格付けは「Baa3」で据え置かれてきたが、格上げが期待される局面だ。

 ――コタック・マヒンドラの運用の特徴は?

 銀行系の運用会社として、信用力を重視した銘柄選定に特徴がある。たとえば、7月末現在で社債に53.9%を投資しているが、格付構成比は国債と同等のBBB格が87.5%になっている。

 また、インド債券市場は外国機関投資家に対して投資枠の規制(FII制度)がある。現在は国内投資家の市場といえるため、現地の事情に通じた投資のジャッジメントが必要だ。コタック・マヒンドラは、すでに15年にわたる債券運用の実績があり、現在14名のリサーチ体制で調査を行うなど、充実した運用体制も持っている。

 ――当面の運用方針は?

 モディ政権の経済政策は、この8月に目玉政策であるGST導入のための憲法改正案が上院で可決し、全29州の大半が賛成の意向を示すなど、順調に進展している。また、インドの物価や経済に大きな影響を与える農業の好不調を左右する雨季(モンスーン、6月中旬−9月)の雨量は平年並みか、それ以上が見込まれ、農作物の収穫は良好な状態が期待される。このため、食品価格高騰によるインフレ懸念は後退し、引き続き緩和的な金融政策が継続すると考えられる。

 7月末現在のポートフォリオは、保有債券の平均残存年数を7.8年と長めにとっている。平均格付けは「BBB−」で、直接利回り6.5%、最終利回り6.2%だ。6%台の高い利回り収入を得ながら、今後の金利低下による債券の値上がり益を狙った戦略をとっている。リーマン・ショックのような世界的なリスクオフ局面では、リスク回避の円高やインドルピー安の影響を受ける可能性があるが、財政赤字や経常赤字の縮小が進んでいるなど良好なファンダメンタルズを背景として、引き続き魅力的なパフォーマンスが期待できると考える。
提供:モーニングスター社
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