<★★★★★>三井住友TAM「債券総合型ファンド」、計量・ファンダメンタル分析の融合で最良アイデアに

 三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定・運用する「債券総合型ファンド(為替ヘッジなし)」<2013050703>は8月末基準でモーニングスターレーティング最高格付け★★★★★になった。3年(年率)トータルリターンが6.05%とカテゴリー(国際債券・北米(F))平均(3.49%)を大きく上回っている。同ファンドについて三井住友トラスト・アセットマネジメント執行役員 総合運用部長の賀来芳彦氏と、主要投資対象ファンドの実質的な運用を行うアライアンス・バーンスタインの債券部ヴァイス・プレジデント諏訪部広氏、投資信託部ディレクター若松史門氏に聞いた。

――ファンドの特徴は?

 世界2位の規模を持つルクセンブルグ投資信託市場において、米国債券部門で最大の規模を誇るアライアンス・バーンスタイン(AB)のファンド「アメリカン・インカム・ポートフォリオ」(運用資産残高:約1兆円、米モーニングスター格付け★★★★★、8月末基準)を主要な投資対象としている。「アメリカン・インカム・ポートフォリオ」は、マクロ経済の環境や米ドル建て債券の種別毎の相対的な魅力度などの分析を行い、投資機会を積極的に追求する。ABの債券運用の旗艦ファンドといわれる存在で、20年以上の運用の歴史がある。

 「アメリカン・インカム・ポートフォリオ」は、米ドル建ての幅広い債券に投資し、どのような投資環境下でも安定的な収益確保をめざしている。投資適格債券に50%以上、また、米国籍債券に65%以上の比率で投資するというルールを設けているが、独自の運用プロセスに基づき債券を選んで投資している。

 債券には2区分があり、安定的な運用に資する「高格付け債券」(国債、投資適格社債、証券化商品など)と、「高利回り債券」(ハイイールド債、新興国債券など)。バランスを重視し分散投資を行うが、環境に応じて、その時に魅力的な債券に重点的に投資する。

 たとえば、リスクオン局面では魅力度が高い「高利回り債券」への投資を増やす。反対に、リスクオフ局面では、より下落リスクの小さい「高格付け債券」の組み入れ比率を増やすが、反発局面に備えて「高利回り債券」への投資も一定程度は維持している。

 具体的には、08年のリーマン・ショック時は、多くの債券ファンドでは新興国債券をポートフォリオから外して資産保全したが、当ファンドは、ファンダメンタル分析の結果などからショック後に戻りの大きさが期待されたことから、新興国債券の組み入れ比率を維持し、一段の下落局面では買い増すことも行って、09年以降の戻り相場ではショックによる下落率以上のリターンを確保した。

 このように、常に半年−1年程度の先を見通しながら債券の組み入れ比率を柔軟に見直す一方、同じ債券の中でも、より魅力的な種類を優先的に組み入れるなど、リサーチ力を生かしたきめの細かな投資判断を重ねて運用している。

――債券運用の特徴は?

 債券運用は、「計量分析」と「ファンダメンタル分析」の2つの異なる視点で独立した分析を行い、その分析結果をぶつけ合い、ベスト・アイデアをくみ上げるスタイルだ。「計量分析」は平常時に優れた効果を発揮しやすく、「ファンダメンタル分析」の結果は異常時に効果が出やすい傾向があるが、これをぶつけ合い融合させることで、どのような環境でも超過収益の源泉を見出すことが可能になると考えている。

――リスク管理の考え方は?

 基本的な考え方は、「取ったリスクに見合ったリターンが得られているか?」ということであり、リスクは取るべき局面では取って、パフォーマンスの積み上げを図っている。

 また、過去5年以上にわたって債券トレーディングの強化を行ってきた。リーマン・ショック後の金融機関に対する規制強化で債券市場の流動性が低下する懸念があったため、より有利な条件で債券の購入・売却が可能になるよう、トレーディング陣容の拡大とシステムの高度化を図ってきた。この体制強化は、世界的に金利が大きく低下する中で効果を発揮している。

――当面の債券市場の見通しは?

 米国の緩やかな金利上昇を見込むが、「高格付け債券」にとっては価格下落リスクが抑えられつつ、安定的なリターンが期待される。一方で、米国景気の向上や世界的な低金利環境におけるイールド・ハンティング(利回り追求)の動きなどから「高利回り債券」に魅力的な債券が増えてくる。ただ、英国のEU離脱、米大統領選挙など影響が見極めにくい要素が多く、不透明な環境が続く。「高格付け債券」「高利回り債券」の両方を持つメリットを最大限に発揮し、安定収益の獲得に努めていく。
提供:モーニングスター社
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