マネックス・セゾン・バンガード投資顧問が提供する資産運用・管理サービス「ＭＳＶ　ＬＩＦＥ」のサービス開始を記念したセミナーが１０月１８日、東京・日本橋で開催された。ＭＳＶ　ＬＩＦＥは、マネックス証券の投資一任口座として９月１７日からサービスを開始した。ロボ・アドバイザーが解析した国際分散ポートフォリオによる投資一任の運用サービスを、低コストで提供する。マネックス証券代表取締役会長兼ＣＥＯの松本大氏は、「ロボットによるサポートは、車の自動運転機能が自動車事故を減らすことに似ている。ご自身の投資判断に、ロボットのアドバイスを上手に組み入れながら、長期間にわたる資産形成を考える時代」と語り、ＭＳＶ　ＬＩＦＥの活用メリットを強調した。

　マネックス・セゾン・バンガード投資顧問代表取締役社長の大原啓一氏は、ＭＳＶ　ＬＩＦＥのサービスを「ロボ・アドバイザー２．０」と呼び、「既存の主なロボ・アドバイザーは、いくつかの質問への答えによって得られる利用者のリスク許容度に最適なポートフォリオを提案する『ロボ・ポートフォリオ・アドバイザー』だが、ＭＳＶ　ＬＩＦＥは、運用計画の策定から、ポートフォリオ提案、そして、目標に向かって継続的なフォローを行い、必要に応じて計画見直しや戦略変更提案まで行う『ロボ・プランニング・アドバイザー』。従来に比べ、運用開始までのステップ数は増えるが、一人ひとりの目標達成のために寄り添い、長く続けられるサービスになっている」と解説した。

　ＭＳＶ　ＬＩＦＥは、まず、利用者の目的を「ためる」「たのしむ（取り崩す）」「そなえる（ためて・取り崩す）」という３つのカテゴリーから選択してもらう。そして、リスク許容度診断を行って最適なポートフォリオを提案。さらに、目標の達成確率を数値で示しながら、確実性の高い目標であれば、よりリスクの低い運用で着実に目標達成をめざす、あるいは、目標達成時期を早めるなど計画の見直しができる。さらに、運用を開始した以降は、目標達成確率が一定水準以上に動いた場合は、アラートメールを発信して計画の見直しを促す。

　運用ポートフォリオは、マネックス・セゾン・バンガードが組み立て、運用内容については利用者の意思で変更することはできない。また、当初は一般口座のみの取り扱いで、特定口座やＮＩＳＡへの対応はしていない。

　セミナー後半は、松本大氏と大原啓一氏に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が加わって、「これからの資産運用」をテーマにしたパネルディスカッションを展開した。ＦＰの深野氏は、「ロボ・アドバイザーなどの登場で、ＦＰの仕事の一部が肩代わりされることは脅威だ。もちろん、現在のＭＳＶ　ＬＩＦＥには、住宅ローンの見直しなどＦＰのアドバイスで重要なキャッシュフローの管理、また、税制優遇の口座の使い分けなどを助言するツールは備わっていないなど、完全にＦＰの仕事を肩代わりするものではない。ただ、感情に左右されない機械の管理に任せた方が上手くいく部分も十分に理解できるので、ロボ・アドバイザーとの共存が、これからのＦＰには求められるのだろう」と語った。

　また、大原氏は、「これまでであれば、子どもが産まれたら学資保険、年金の備えには個人年金保険など、ライフステージで決まった金融商品があったが、今は、選択肢が格段に増え、低金利状態が一段と選択肢の幅を広げている。その中から、自分に合った組み合わせを選び出すということが難しくなっている。テクノロジーの進化によってロボ・アドバイザーが、低コストで質の高い提案ができるようになったので、自分の生活を豊かにするアプリの１つとして使いこなしていただきたい」と語った。

　松本氏は、「人の寿命が恐ろしく長くなっている。これからの資産運用において重要なことは、低金利が続くだけに、運用のコストを低く抑えること。そして、長く続けることだ。何かを反復するなどロボットが得意な分野は、人間よりもはるかに優れている。それを使う人と使わない人の差は明確に出てくる」と、ロボットの活用も考える時代になっていると語り、「ＭＳＶ　ＬＩＦＥは、これからどんどん進化していく」と今後の取り組みにも注目してほしいとした。
提供：モーニングスター社