ブラックロックの金鉱株ファンド、金価格の上昇率を上回る高パフォーマンスで資金流入も拡大

 ブラックロック・ジャパンが設定・運用する「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープン」Aコース(為替ヘッジ付)<1995022404>/Bコース(為替ヘッジなし)<1995022405>が年初から大幅な値上がりとなっている。Aコース(為替ヘッジ付)の1年トータルリターンは68.33%、Bコース(為替ヘッジなし)は同46.13%だ。同ファンドを運用するブラックロック・インベストメント・マネジメント(UK)リミテッドの天然資源チーム、ポートフォリオ・マネージャー、トム・ホール氏に、モーニングスター代表取締役社長、朝倉智也が高パフォーマンスの背景などを聞いた。

 ――16年に入ってから金や金関連ファンドへの資金流入が続いている。金について、これほど関心が高まっている理由は?

 「金への注目度が高まっているのは、資産を分散する必要性からだ。マイナス金利になるほど世界的な低金利が進んだが、これに伴う変化として、債券と株式の相関関係がかつてなく高まっている。このため、株式や債券とは異なる値動きをする分散投資の対象として金が注目されている。」

 「また、政治的ショックや市場ショックなどボラティリティーが高まり、先行きに不透明感が高まっている。不透明な市場では資金の避難先として金が選ばれる傾向も強い。実際に、Brexit(英国のEU<欧州連合>離脱)決定直後の市場波乱では、金は大幅に値上がりした。」

 ――金の価格を考えるうえで重要な需給関係の中期的な見通しは?

 「この2−3年間は鉱山関連投資が抑えられていたため、向こう3−5年にわたって金の供給は徐々に減少していく見通しだ。一方、宝飾品需要が50−60%を占める金の需要は安定しており、世界の投資家の間で投資ヘッジとしての金需要が高まっていることを考えれば、当面の需給関係は良好といえる。」

 ――金と金鉱株の違いは?

 「16年は金価格の値上がり率以上に金鉱株が値上がりしている。一般に、金価格に比べて、金鉱株は収益のレバレッジがかかるため、価格上昇時にはより高い値上がり率が期待できるという傾向がある。」

 「ところが、10−12年は、金価格が値上がりしたものの、金鉱株のパフォーマンスは良くなかった。この間は、金の産出コストが上昇したため、金鉱株の収益が伸びなかったためだ。その後は、産出コストの上昇圧力がなくなったため、金価格の上昇がストレートに金鉱株の収益拡大に結び付くようになり、株価の上昇にもつながった。」

 「もっとも、金鉱株と一くくりに言うことはできない。採掘権のある鉱山の埋蔵量や産出コストの管理、そして、生産量など個々の企業経営によって、1株当たりの収益に差が出る。個別企業への調査を通じて、長期的な企業価値を分析し、成長する企業であるかどうかを見極める必要がある。」

 ――16年になっての金鉱株の値上がりで、既に割高になったのでは?

 「金鉱株は上昇したが、同時に金価格も上昇しているため、現在のところ金鉱株に割高感はない。たとえば、EV(エンタープライズ・バリュー:企業価値)、EVITDA(減価償却前営業利益)、PER(株価収益率)などの指標で、現在の株価を測ってみても、割高な水準にはない。」

 「むしろ、金鉱株のフリーキャッシュフローの成長率は、ここ数年は年率平均7%を超えている。00年以降で、これほどのキャッシュフローを生み出してきたカテゴリーはほかにない。その魅力が注目されている。」

 ――ブラックロック天然資源チームが運用する金鉱株ファンドは、モーニングスターアナリストレーティングで最高位「GOLD」の評価を得ている。日本で金鉱株に特化したファンドを提供するのはブラックロックだけだが、金鉱株ファンドの運用の特徴は?

 「天然資源チームは、長期の視点に立ったボトムアップリサーチを特徴としているが、特に重要視しているのは「現場主義」だ。企業訪問は、鉱山にまでおよび、幅広い企業調査によって業界のトレンドなどを把握し、金価格の見通しや業績見通しなどを総合的に判断している。」

 「また、ESG(環境・社会・企業統治)も重要視している。資源会社の場合、外部から鉱山のある現地に入っていくことが多い。このため、地域コミュニティーと良好な関係が築けるか、国の環境規制などに適応できるかなど、その地域で成長を遂げるためには、地域に受け入れられる努力をする企業としての姿勢が問われるためだ。」

 「資産運用のリスクヘッジとして、資産の一部に金鉱株ファンドを取り入れることを検討していただきたい。」
提供:モーニングスター社
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