バランス型で進むけん引役交代、チャイナ・ショック契機―10月推計資金流出入

 モーニングスターの独自推計によると、10月の国内追加型株式投信(ETF除く)への資金フローは60億円の純資金流入となり、23カ月連続の流入超過となった。もっとも、純資金流入額は9月の3812億円から急減速しており、流入超過を記録した直近23カ月のうちでは最も低い水準となる。大分類別では、「国際REIT型」が1361億円の純資金流入と8カ月連続1位を維持したものの、9月の2763億円の純資金流入から半分以下に落ち込んでおり、国内投信全体の流入が鈍化した要因となっている。10月は欧米の長期金利が上昇し、REIT(不動産投資信託)の利回り面での魅力低下が意識された可能性がある。また、「国内株式型」が1156億円の純資金流出となったことも全体の足を引っ張った。日経平均株価が1万7000円台を回復して約半年ぶりの高値水準となる中で、利益確定目的の解約が増加したと推測される。

<チャイナ・ショック前後でバランス型の資金動向に変化>

 全般的に資金流入が鈍化するなか、比較的に安定した流入傾向となっているのが「バランス型」だ。10月は238億円の純資金流入となり、「国際REIT型」に続き第2位。10月まで30カ月連続流入超過と、大分類別では最も長く流入超過が継続している。

 ただし、「バランス型」としては安定した資金流入だが、リスク資産(株式・REIT)の組み入れ比率に応じたカテゴリー別で見ると、中国人民元の切り下げを発端とした「チャイナ・ショック」があった2015年8月前後で、資金流入のけん引役が交代している。直近30カ月をチャイナ・ショック前後15カ月で分けると、チャイナ・ショック前はリスク資産の組み入れ比率75%以上の「成長」が5043億円の純資金流入と最も大きく、リスク資産の組み入れ比率が低下するごとに流入額も低下している。

 一方、チャイナ・ショック後はリスク資産の組み入れ比率25%未満の「安定」が4123億円の純資金流入と最大で、リスク資産の組み入れ比率が増えるごとに流入額は低下しており、「成長」に至っては798億円の純資金流出に転じている。チャイナ・ショック後も原油価格の急落、日銀のマイナス金利導入、Brexit(英国のEU離脱)など市場が動揺するイベントが相次いだことで、投資家がリスク回避姿勢を強めた結果が反映されていると言えそうだ。

 チャイナ・ショック後の15カ月累計の純資金流入額をファンド別に見ると、バランス型の上位は第1位が「東京海上・円資産バランスファンド(毎月)」<2012110902>で1958億円、第2位が「JPM ベスト・インカム(毎月決算型)」<2014091702>で504億円、第3位が「スマート・ファイブ(毎月決算型)」<2013071601>で404億円、第4位が「トレンド・アロケーション・オープン」<2012033004>で382億円と、トップ4がいずれも「安定」または「安定成長」に属するファンドとなった。4ファンドとも単純にリスク資産の比率が抑制されているだけでなく、機動的に資産配分を変更するタイプとなっており、目まぐるしく変わる市場環境への対応を特徴とすることで投資家の注目を集めている。
提供:モーニングスター社
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