損保ジャパン日本興亜AM「りそなアジア・ハイ・イールド債券F」、アジアの高成長で中・長期投資に妙味

 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントが設定・運用する「りそなアジア・ハイ・イールド債券ファンド」(アジア通貨コース)<2011093002>は2017年1月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの5つ★に格上げされた。5年(年率)トータルリターンが16.58%とカテゴリー(国際債券・ハイイールド債(F))トップの成績だ。同ファンドの特徴について、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント外部委託運用部インベストメントマネージャーの上田雅士氏に聞いた。

――好調なパフォーマンスの要因は?

 アジア・ハイ・イールド債券市場は、主要国の国債利回りが低下する中にあって、高い利回り水準が期待できる資産クラスとして注目が高まっている。世界的に利回りを求める動きが強まる中、一部の投資資金がアジアのハイ・イールド債券に向かっている。

 アジア・ハイ・イールド債券市場の市場規模は、米国の約140兆円、欧州の約40兆円に対して現在は約15兆円であり、今後大きく拡大する余地がある。アジア地域のGDPは年率5%以上で成長しており、経済発展にともなって発行体であるアジア企業のクレジット(信用力)の改善も期待される。

 さらに、経済の拡大と共に域内の富裕層や機関投資家の債券投資需要が拡大しており、先進国からの投資ニーズと合わさって、市場を押し上げている。特に近年では、中国の富裕層が人民元安を懸念してドル建てのアジア・ハイ・イールド債券を積極的に買っている、との話もある。

 先進国の低金利環境が続く中、アジア・ハイ・イールド債券市場への資金流入の流れは、今後も簡単には変わらないと考えられることから、引き続き堅調な相場が続くと期待される。

――ファンドでは、「日興 アジア・ハイ・イールド・ボンド・ファンド」と「ライオン アジア・ハイ・イールド・ボンド・ファンド」の2本の外国籍投資信託を通じて、アジア・ハイ・イールド債券に投資しているが、この2つのファンドの特徴は?

 アジア・ハイ・イールド債券ファンドを設定するに当たって、やはり、現地の債券市場に精通した調査・運用会社に運用を委託したいと考えた。そこで、シンガポールの大手金融グループ傘下のDBSアセットマネジメント(現・日興アセットマネジメント アジア リミテッド)を運用委託先としてファンドを立ち上げた。

 その後、ファンドの規模が大きくなり、戦略分散の観点から「ライオン」を2013年に新たな投資対象として加えた。このファンドを運用するライオングローバルインベスターズは、シンガポールの大手銀行であるOCBCグループの一員だ。

 「日興アジア」と「ライオン」の運用戦略は、いずれもマクロ分析によるトップダウン・アプローチとクレジット分析によるボトムアップ・アプローチを融合した戦略であるが、「日興アジア」のほうが比較的マクロ分析に重きを置いた運用なのに対し、「ライオン」はよりクレジット分析に重きを置いた運用となっている。

――「アジア通貨コース」は、インド・ルピー、インドネシア・ルピア、オーストラリア・ドルに均等に投資したパッケージを買って、米ドルを売るという為替取引を行っているが、この狙いは?

 インド・ルピーなど3通貨は、アジア地域の中で比較的金利水準の高い通貨であり、現在は対米ドルで為替ヘッジした場合、ヘッジ・プレミアム(金利差益)を得ることができる。アジア通貨は、過去に大幅な通貨安を経験したこともあるが、通貨下落時にはこのヘッジ・プレミアム(2017年1月現在で年率3.8%程度)が価格下落のクッションになると考えられる。

――今後の市場の見通しは?

 足元の金融市場では、米国の金利上昇観測が強まる中、トランプ米大統領の経済・財政政策の不透明さが懸念されている。また、欧州の政治情勢も不透明な状況にあることから、アジア・ハイ・イールド債券市場は足元でボラティリティー(価格変動)が高まりつつある。昨年来の値上がりによって、国債との利回り格差(スプレッド)もこれまでほど割安な状況にはなく、当面は上値の重い相場展開が予想されることから、日興アジア、ライオンいずれのファンドもデュレーション(債券投資の平均回収期間)を短めにしたり、キャッシュ比率を高める等によって今後の金利上昇に備えたポートフォリオとしている。

 ただし、アジア地域の経済発展やアジア企業のクレジット改善にともなって、アジア・ハイ・イールド市場は、今後さらに大きな成長が見込まれる市場なので、3年、5年といった中・長期の視点で投資をご検討いただきたい。
提供:モーニングスター社
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