ドイチェ・アセット・マネジメント、常に誠実にお客さまに役立つこと、その実践こそがフィデューシャリー

 金融庁が今年3月に示した「顧客本位の業務運営に関する原則」に対し、主な金融機関は6月末までに原則を採択している。ドイチェ・アセット・マネジメント代表取締役社長の土岐大介氏に同社の取り組みについて聞いた。

――顧客本位の業務運営についての取り組み方針は?

 運用会社は、投資信託などの運用商品を作っている製造業だ。いかに良い商品を作り、その内容をしっかり伝えていくかに徹している。大切なことは、「誠実であること」「常にお客さまに、どう役立つかを考え続けること」の2つだ。この実践によって、お客さまからの信頼は自ずと得られると考えている。これが、業務運営方針のベースだ。この考え方は、グローバルにドイチェ・アセット・マネジメントの考え方として貫かれている。

 「お客さま」とは、最終投資家の皆さまだ。販売会社は「お客さま」により質の高いサービスを提供するためのビジネスパートナー。「どのように商品内容を伝えるか」「どう役立つか」ということは、常に最終投資家を意識して取り組んでいる。

――スチュワードシップ活動は?

 ドイチェ・アセット・マネジメントは、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の分野で、20年の実績がある。ESGエンジンであるデータは、自社調査で蓄積が進み、すでにグローバル1万6000社の中から3000社に独自のESGレーティングを付けている。ESG専門のCIO(最高投資責任者)が中心となって、アクティブ、パッシブ、オルタナティブの全てのカテゴリーでESGのチェックを行っている。オルタナティブも含めたESG評価を実施しているのが特徴だ。

 コーポレートガバナンス・コードは、日本と欧州は、ほぼ同じ内容だ。グローバルで同じようにスチュワードシップ・コードを考えた行動が定着している。

 なお、議決権の個別開示は、ドイツではファンドごと、企業ごと、議案ごとに進めている。日本では準備が整い次第、来年度の議決権行使結果を公表する。

――利益相反の適切な管理についての取り組みは?

 グループで売買執行の注文を出すなどの場合、厳しいルールにのっとって実施している。すでに公式ホームページにおいて、利益相反に該当する取引の事例をあげ、具体的にどのような対処をするのかを公表している。個別案件の処理が公表内容と相違ないかチェックしている。

――分かりやすい情報提供は?

 2つの観点から積極的な情報発信に努めている。ひとつは、商品を製造している立場から、商品内容の分かりやすい情報開示だ。ここは、地道に改善の努力を続けている。

 もうひとつは、「お客さまの役に立つ」という観点からの情報提供だ。当社のファンドに関する情報だけを提供して、それで十分にお客さまに役に立っているだろうかという視点でも考えている。

 お客さまにとって大事なことは、投資環境が変化する中で投資を継続すべきかどうか、そして、保有しているファンドのままでいいかどうかの判断材料になる情報だと思う。たとえば、3カ月ごとに発表している「CIOビュー」は、自分たちが運用する上で、必要な情報をまとめていた資料だが、これを一般の投資家の皆さまにも提供するようにしたものだ。グローバルCIOステファン・クロイツカンプを中心に、向こう1年のマクロ経済や投資戦略の展望をまとめたレポートで、ドイチェ・アセットの運用のベースになる考え方になる。

 お客さまに役立つ情報を届けたいという一念で、CIOビューの公開に踏み切っている。ドイツでは、CIO自身が地方都市を回ってCIOビューの内容について説明会も開催している。

 日本では、直接CIOが説明に回るというような機会を設けにくく、レポートの内容が難解だというご指摘もいただいている。そこで、日本の投資家の方々向けに、CIOビューが示唆する見通しを踏まえ、円ベースの注目される投資戦略をいくつか紹介するなど、CIOビューの内容をより噛み砕いて伝える方法を検討しているところだ。

――KPI(客観的に評価できる成果目標)は?

 お客さまのお役に立つ実際の行動を指標化することが大事だと考え、その公表の方法を検討している。当社はドイツ国内において、個人向け投資信託のシェアが26%に達するナンバーワンの運用会社だ。また、ドイツ国民は、資産運用については保守的な国民性という日本との共通点がある。欧州での経験が、日本の投資家の方々のお役に立てる点が様々にあると思う。

 日本でもドイツでも、お客さまの役に立つことを一心に実行する会社として、お客さまの信頼に応えていきたい。
提供:モーニングスター社
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