ソニー銀行、国内銀行で初の投資型クラウドファンディングの取り扱いを開始

 ソニー銀行は8月8日から、国内銀行では初めてとなる投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」の運営を開始した。ベンチャー企業等の資金調達ニーズと投資家の資産運用ニーズをインターネット上で結びつけるFintech事業のひとつに位置付けられるサービス。同日、東京・銀座で記者発表会を開催し、ソニー銀行代表取締役社長の住本雄一郎氏は、「ネット専業銀行の先駆けとして常に新しい商品・サービスを提供してきたソニー銀行から、企業の顔が見える新しい資産運用の選択肢としてクラウドファンディングに挑戦したい」と新サービスに取り組む意気込みを語った。

 「Sony Bank GATE」のスタートにあたって、ソニー銀行の利用者やベンチャー企業を対象に行った意向調査では、「ベンチャー企業にとって資金調達手段として銀行融資は、個人保証を求められ、ベンチャーキャピタルは上場へのプレッシャーがあるなどのデメリットがあった。一方、ソニー銀行で資産運用を行っている利用者の間では、クラウドファンディングの利用意向者が43.2%、ベンチャー企業への関心がある方が59.6%と非常に強いニーズがあった。クラウドファンディングによってベンチャー企業と投資家を結びつけることで、従来の資産運用商品にはない新しい価値を提供できる」(ソニー銀行執行役員新規事業企画部担当 田中浩司氏)と、同事業をスタートするに至った経緯を説明した。

 第1弾で募集を開始したリンクジャパン社のスマートホームデバイス「eRemote pro」のファンドは、最低投資単位1口=5万円で1000万円を募集。運用期間は1年間で、途中換金はできない。事業計画(17年12月出荷開始、18年7月末の決算までに3600台を販売し売上高4248万円を計上する)が達成されれば8%程度の投資収益が得られる。売り上げが目標金額から一定以上下回った場合は、1年後の回収金額が1口当たり5万円を下回ることになる。

 リンクジャパン社の「eRemote pro」は、スマートフォンを使って家庭の家電製品を操作できるIoT(モノのインターネット)デバイスだが、電流センサーを組み込むことで、スマートフォンと家電が双方向でデータ通信できる新しい機能を組み込んでいる。この機能によって、実際の操作が実行されたかどうかをスマホで確認することが可能となる。特許申請も行っている。同社代表取締役の河千泰進一氏は、「『eRemote pro』は今ある家電に赤外線リモコンがついていれば全てを1台のスマホで操作できるようになる。ビル・ゲイツ氏がスマートホームを実現するためには80億円が必要だったといわれるが、『eRemote pro』なら数万円でスマートホームの利便性を実現できる」と商品の将来性をPRした。

 また、河千泰氏は、ソニー銀行のクラウドファンディングによる資金調達のメリットを「ベンチャーキャピタルから資金調達支援の誘いは多いが、その際には一部の株式の譲渡が条件になるケースが多く独自性を保てなくなるリスクを感じる。また、銀行融資などでも会社そのものの信用リスクが問われるが、今回は1プロジェクトに限る資金調達なので思い切った事業プランでも対応できそうな魅力がある。そして、資金調達にあたってソニー銀行のプラットホームを通じて、当社の新製品についてアピールできるというマーケティング効果も魅力がある」と語っていた。

 ソニー銀行では、「Sony Bank GATE」を通じて、1案件1000万円−1億円程度(最大5億円以内)の案件を、今年度は月間2件程度を計画。3年間で合計70件、40億円程度の実行を目標にしているという。募集金額は、ファンドごとに設定するが5万円−10万円程度、ファンドの会計期間は1年−3年程度を想定している。手数料は、投資家の取引に関する手数料は無料。資金調達企業は、資金調達手数料やファンド運営管理費用等と支払う。

 ソニー銀行の田中氏は、「ソニー銀行の利用者をはじめとした投資家の方々には、少額からのベンチャー投資を、手数料ゼロで手軽に始めていただける。銀行が運営するプラットホームとして審査とモニタリングには力を入れる。投資家の方には、資産を増やすだけではなく、ベンチャー企業を応援して新しいサービスを世に送り出すというベンチャー投資の楽しみを提供したい。また、ファンドによっては、出資特典として完成品の提供などを行うこともある。新しい運用商品として注目していただきたい」と語っていた。
提供:モーニングスター社
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