アセットマネジメントOne、フィデューシャリーNo.1を実現する覚悟が統合新会社発足の原点

 金融庁が今年3月に示した「顧客本位の業務運営に関する原則」に対し、主な金融機関は6月末までに原則を採択している。アセットマネジメントOneの経営企画部フィデューシャリー・デューティー推進室長の高野浩一氏、運用本部責任投資部長の寺沢徹氏、商品開発グループ投資信託ディスクロージャー部長の三木谷正直氏に、同社の取り組みについて聞いた。

 ――昨年10月の統合発足にあたって「フィデューシャリーNo.1」を掲げているが、スチュワードシップ活動への取り組みは?

寺沢 当社発足時に、スチュワードシップ活動の専門部署として責任投資部を設置した。責任投資部には、ESGアナリスト、議決権行使専任担当者を置き、中・長期的な視点に立ったエンゲージメントや議決権行使を通じて投資先企業の企業価値向上、ならびに、株式市場全体の底上げに貢献できるよう努力している。

 企業との建設的な対話を深めているところだが、中・長期の企業価値向上に関する議論が中心であり、この成果は漢方薬のように時間をかけて運用成績等に効いてくると思う。また、ガバナンスについて理解を深めることは、ダウンサイドリスクを低減する効果が期待される。

 なお、5月29日に公表された日本版スチュワードシップ・コードの改定を採択し、改めて責任ある機関投資家としてのガバナンス体制をチェックした。議決権行使の個別開示は4−6月の分を8月下旬に公表したところだ。

 ――利益相反を適切に管理する体制は?

高野 統合にともなって、資産運用・法律・会計の各分野で高い知見を有する専門家3名の方を独立社外取締役(監査等委員)に招へいし、監査等委員会設置会社となった。独立性・透明性の高いガバナンスをめざし、社外取締役の方々には責任投資委員会など会議に参加していただき、常に第三者の目を意識した業務運営を実行するようになっている。

 6月30日に独立社外取締役が過半を占める「議決権行使諮問会議」を設置した。投資先企業の議決権行使について判断を行う責任投資委員会の諮問機関という位置づけだ。利益相反の観点から最も管理が重要と考えられる親会社等の議決権行使の際には、議決権行使諮問会議が第三者の立場から意見を表明し、第三者機関である助言会社のアドバイスを受けた上で、責任投資委員会が議案への賛否を決定するなど、より厳格な管理体制にした。

 また、議決権行使に関わる部署には、株主会社の法人部門に所属していた者は5年間は配属しないよう規制したほか、議決権行使にかかる不当な接触等については内部通報制度を設け、事後的にも権利行使結果の適切性の検証やメール監査等のモニタリングを整備するなど、議決権行使部署に対するあらゆる影響力を遮断する体制の強化を図った。

 そもそも、運用担当者はパフォーマンスが業績評価項目に入っているため、不当な接触や要求によって運用資産に特定の株式を組み入れるようなインセンティブが働くことはないが、より一層、利益相反管理体制を強化した。

寺沢 利益相反を管理する仕組みについて、大手金融グループそれぞれが対応しているが、当社はみずほ信託銀行の運用部門を切り出して統合新会社に加えている。相当強い覚悟で資産運用業務の独立性確保に取り組んでいることが分かって頂けると思う。

 ――より分かりやすい情報開示は?

三木谷 シンプルでわかりやすい情報提供資料について考えている。ユニバーサルデザインの本格採用も検討課題のひとつだ。5月からユニバーサルフォントを導入を開始し、色覚シミュレーションツールを使って間違いやすい色使いを改めるなど、より見やすいようにしている。

 一方、お客さまの満足度を高める情報提供について、市場の大きな変動時などに「臨時レポート」等を速やかに、かつ、分かりやすく出していくなど、情報提供の充実も合わせて進めていきたいと考えている。

高野 新たに「資産運用FDコミッティ」を設置した。外部有識者を招いて、年3回くらい、専門的な立場からアドバイスをいただく。まずは、資産運用会社として何ができるか、何をすべきかなどについてご意見をいただくが、その中で情報発信も重要なテーマとしてご意見をいただく予定だ。

 当社は「フィデューシャリーNo.1」を掲げている。お客さまからの評価が全ての判断基準になる。お客さまから最も信頼していただける会社をめざし、公表しているアクションプランを着実に実行し、お客さまに最高のサービスを提供していきたい。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。