イーストスプリングのインド関連株式ファンド、「消費」と「インフラ」の2大テーマがインド市場をけん引
イーストスプリング・インベストメンツが設定するインド関連株式ファンドのパフォーマンスが好調だ。「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」は、10月末現在で過去5年のトータルリターンが年率18.87%。「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」は同じく年率16.77%という成績だ。好調が続くインド経済の現状と今後の見通しについて、この二つのファンドの運用を担っている同社のインドにおけるグループ会社、ICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメント・カンパニーのチーフ・インベストメント・オフィサー、サンカラン・ナレン氏と、イーストスプリング・インベストメンツの投信営業部長、面谷祥友氏に聞いた。
ナレン氏は、好調が続くインド経済の背景について、「2014年にモディ首相のインド人民党が単独で下院過半数の議席を獲得し、GST(物品・サービス税)改革、破産法の成立、昨年11月の高額紙幣の廃止などの政策が積極的に進められている。また、インフレターゲット制の導入によって、インフレ率も良く抑えられ、為替も安定しているなど、インドの成長には複数の要因が重なっている」と語っている。
そして、インドは人口13億人のうち3分の2が35歳未満という若い社会であることから、「これから就労人口も大きく拡大する中、『メイク・イン・インディア』という製造業振興のためのキャンペーンを行い、これから就労人口に入ってくる国民に雇用機会を提供しようしている」と、今後の成長に強い期待を抱いている。
また、これまでインド経済のアキレス腱といわれてきた「インフラ(社会基盤)」についても、モディ政権の下で着実な進展が図られていることを高く評価した。「全インドで高速道路網の整備が行われ、道路の二車線、四車線化が進んでいる。また、日印で新幹線の建設の協定がなされ、ムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道に日本の新幹線方式が採用されることになった。日本の新幹線のような安全な鉄道網がインドで整備されるだろう」と期待を表した。
このインドのインフラ整備の状況については面谷氏も、「モディ政権発足を境に、インフラ株式ファンドのパフォーマンスはイメージが変わった。前政権のマンモハン・シン政権下でインフラプロジェクトが停滞したが、モディ政権以降はその停滞していたプロジェクトが急速に再開したため、インフラセクターも出遅れを取り戻すかのようにパフォーマンスが回復した」と振り返る。
さらに、GSTの導入もインド経済を押し上げる大きなインパクトがあるという。ナレン氏は、「インドはこれまで州ごとに20以上の異なった市場だったが、GSTによって大きな単一市場が生まれた。この規模のメリットだけでなく、インド各地からモノを移動する際、より迅速にモノを運べるようになった」とした。「ただ問題は、GSTは非常に大掛かりな改革であるため、一夜にしてその効果が出るものではない。現在は導入後のもたつき、また、混乱等が生じている状況だが、3−5年という期間で考えると、GSTは消費を押し上げる大きな恩恵をもたらす」と語っている。
消費関連の成長について面谷氏は、「一人あたりの所得水準の向上、そして、人口の増大によって、掛け算でインド全体の消費は爆発的に伸びるというストーリーが描ける。GSTの浸透が後押しすると、これまでも良好なパフォーマンスを上げてきた消費関連株のパフォーマンスは、今後も期待できると考える」と強気の見通しを語る。
一方、現在のインド株式市場についてナレン氏は、「割安でもない、割高でもない」と分析している。「インドは利下げがありうる状況であり、また、企業収益も向こう2年間で30%ほど拡大する見通しにある。一方、政府は、労働市場の改革、低価格住宅の建設を重点的に進めている。低価格の住宅提供は、住宅取得に伴う耐久消費財の消費を押し上げ、長期にわたって大規模な消費を押し上げる要因になるだろう」と予測している。そして、原油価格の高騰はリスク要因になるものの、「インドは長期的な構造改革のストーリーが描け、投資対象として大変魅力がある」とした。
面谷氏は、「世界の主要先進国が内向きの政策を取り始めているが、インドは国内需要によって経済成長し、世界の中でもインドの消費マインドは高いため、相対的に優位な成長を続けると予想される。消費とインフラ、いずれもインド国内の内需をテーマとしたファンドであり、人口動態を背景とした内需拡大への期待、また、モディ政権が進めるインフラ整備事業の拡大を背景に、今後も良いパフォーマンスが期待される」と語った。
提供:モーニングスター社
ナレン氏は、好調が続くインド経済の背景について、「2014年にモディ首相のインド人民党が単独で下院過半数の議席を獲得し、GST(物品・サービス税)改革、破産法の成立、昨年11月の高額紙幣の廃止などの政策が積極的に進められている。また、インフレターゲット制の導入によって、インフレ率も良く抑えられ、為替も安定しているなど、インドの成長には複数の要因が重なっている」と語っている。
そして、インドは人口13億人のうち3分の2が35歳未満という若い社会であることから、「これから就労人口も大きく拡大する中、『メイク・イン・インディア』という製造業振興のためのキャンペーンを行い、これから就労人口に入ってくる国民に雇用機会を提供しようしている」と、今後の成長に強い期待を抱いている。
また、これまでインド経済のアキレス腱といわれてきた「インフラ(社会基盤)」についても、モディ政権の下で着実な進展が図られていることを高く評価した。「全インドで高速道路網の整備が行われ、道路の二車線、四車線化が進んでいる。また、日印で新幹線の建設の協定がなされ、ムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道に日本の新幹線方式が採用されることになった。日本の新幹線のような安全な鉄道網がインドで整備されるだろう」と期待を表した。
このインドのインフラ整備の状況については面谷氏も、「モディ政権発足を境に、インフラ株式ファンドのパフォーマンスはイメージが変わった。前政権のマンモハン・シン政権下でインフラプロジェクトが停滞したが、モディ政権以降はその停滞していたプロジェクトが急速に再開したため、インフラセクターも出遅れを取り戻すかのようにパフォーマンスが回復した」と振り返る。
さらに、GSTの導入もインド経済を押し上げる大きなインパクトがあるという。ナレン氏は、「インドはこれまで州ごとに20以上の異なった市場だったが、GSTによって大きな単一市場が生まれた。この規模のメリットだけでなく、インド各地からモノを移動する際、より迅速にモノを運べるようになった」とした。「ただ問題は、GSTは非常に大掛かりな改革であるため、一夜にしてその効果が出るものではない。現在は導入後のもたつき、また、混乱等が生じている状況だが、3−5年という期間で考えると、GSTは消費を押し上げる大きな恩恵をもたらす」と語っている。
消費関連の成長について面谷氏は、「一人あたりの所得水準の向上、そして、人口の増大によって、掛け算でインド全体の消費は爆発的に伸びるというストーリーが描ける。GSTの浸透が後押しすると、これまでも良好なパフォーマンスを上げてきた消費関連株のパフォーマンスは、今後も期待できると考える」と強気の見通しを語る。
一方、現在のインド株式市場についてナレン氏は、「割安でもない、割高でもない」と分析している。「インドは利下げがありうる状況であり、また、企業収益も向こう2年間で30%ほど拡大する見通しにある。一方、政府は、労働市場の改革、低価格住宅の建設を重点的に進めている。低価格の住宅提供は、住宅取得に伴う耐久消費財の消費を押し上げ、長期にわたって大規模な消費を押し上げる要因になるだろう」と予測している。そして、原油価格の高騰はリスク要因になるものの、「インドは長期的な構造改革のストーリーが描け、投資対象として大変魅力がある」とした。
面谷氏は、「世界の主要先進国が内向きの政策を取り始めているが、インドは国内需要によって経済成長し、世界の中でもインドの消費マインドは高いため、相対的に優位な成長を続けると予想される。消費とインフラ、いずれもインド国内の内需をテーマとしたファンドであり、人口動態を背景とした内需拡大への期待、また、モディ政権が進めるインフラ整備事業の拡大を背景に、今後も良いパフォーマンスが期待される」と語った。
提供:モーニングスター社