<米中間選挙>米中間選挙で“ねじれ”発生か、2010年中間選挙後の動きを見る

 11月6日に実施された米中間選挙の投開票が進んでいるが、米メディアによると、上院ではトランプ大統領を支える与党の共和党が多数派を維持した一方、下院では野党民主党が勝利したという。事前の予想通り、大統領と上下両院(もしくはどちらか)の多数派が異なる“ねじれ”が発生するもようである。

 米中間選挙で“ねじれ”が発生した場合の米国株式市場の動向には、注意が必要である。予算や政策を巡る議論がこう着するなど国政の停滞が予想され、先行き懸念が高まるためである。

 2000年以降の中間選挙を見ると、2006年と2010年に、大統領および上下両院の多数派を同一政党が占めていた状況が崩れる“ねじれ”が発生し、いずれも翌年にかけて、NYダウが一時的に調整する場面に見舞われた。中間選挙後1年間のNYダウの騰落率は、2006年の中間選挙後が9.4%、2010年の中間選挙後が5.8%と、いずれも売り一巡後の買い戻しもあってプラスとなったが、2010年には急落して約5%下落する場面もあった。2006年の中間選挙後については、翌年にサブプライム・ローン問題が発生しており、特殊な状況であったと言える。

 一方、2010年の中間選挙後については、民主党のオバマ大統領(当時)と下院の多数派を占めた共和党が米連邦債務上限問題を巡って対立し、米国債のデフォルト懸念が高まり、最終的に大手格付け会社による米国債の格下げを受けてNYダウが急落した。NYダウの急落は中間選挙の結果とも言える。

 今回の中間選挙で民主党が下院の多数派を奪回して“ねじれ”が発生することにより、米国株式市場は来年にかけて下落リスクを抱えた展開になると予想される。議会での予算審議が難航すると見られるほか、いわゆるロシア問題を巡って大統領を追及する動きが強まる恐れもある。政策面では追加減税観測が後退すると見られる。

 では、2010年の中間選挙後の国内ファンドの動きはどうだったのだろうか。2011年10月末時点におけるモーニングスターカテゴリー別の過去1年間のトータルリターン上位5カテゴリーを見ると、「国内小型グロース」「国内小型バリュー」「国内小型ブレンド」という国内小型株に投資する3つのカテゴリーが並んだ。リターンはそれぞれ13.4%、12.4%、9.0%である。いずれも2010年10月末までの過去1年間のリターンはマイナスであり、リターンの改善ぶりが際立つ。米中間選挙当日から1年間の株価指数の騰落率を見ると、日経平均株価が5.7%下落したのに対して、日経ジャスダック平均は2.0%、東証マザーズ指数は14.2%上昇しており、全体相場の影響を受けづらい小型株に物色が向かったことがうかがえる。

 なお、米国株式に投資する「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」は1.7%、6.7%といずれもプラスのリターンを獲得した。選挙後1年間のNYダウの騰落率が最終的にプラスとなったためでもあるが、選挙前1年間のリターンと比べると、プラス幅が為替ヘッジなしで微増、為替ヘッジありで大幅に縮小している。

 次に、資金流出入の状況である。2010年の中間選挙後1年間の純資金流入額の上位5カテゴリーを見ると、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」が1兆7881億円の流入超過と選挙前1年間に続いてトップとなったが、流入額自体は2461億円減少した。第2位は「国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし)」で1兆5388億円の流入超過と選挙前1年間に対して流入額が1兆573億円増加した。背景には米国REIT市場が低水準の国債利回りを背景に堅調に推移していたことがある。ただ、現時点においては米国金利が上昇基調にあるため、米国REITの先行きは慎重に見ておいた方が良いだろう。

 なお、好パフォーマンスであった国内小型株に投資するカテゴリーについては、国内小型グロースが選挙前1年間の184億円の流出超過から30億円の流入超過に転じたほか、国内小型ブレンドは流出額が84億円から54億円に、国内小型バリューは流出額が286億円から96億円に減少した。2018年9月末時点の過去1年間のリターンで見ても、国内小型株に投資する3カテゴリーはいずれもプラスのリターンを獲得し、74カテゴリーの中で上位となっている。米中間選挙後にも良好なパフォーマンスが継続するか注目される。
提供:モーニングスター社
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