Brexitのヤマ場迫る、「国際株式・欧州」の動向は要注視

 英国は14日、EU(欧州連合)からの離脱条件を定めた協定案を閣議決定した。ただ、翌15日に、英国側の離脱交渉責任者であるEU離脱担当相ら複数の閣僚が辞任を表明するなど、Brexit(英国のEU<欧州連合>からの離脱)を巡って緊張が高まっている。

 国内ファンドでは、欧州の株式に投資するモーニングスターカテゴリー「国際株式・欧州」の動向に注視する必要があろう。そこで、メイ英首相がEUに離脱通知を行い、EUと英国の離脱交渉が始まった2017年3月から2018年10月までの期間を対象に、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」と先進国の株式に投資する「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」の月次リターンを比較した。

 その結果、2017年11月、2018年5月、2018年8月の3カ月において、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」がプラスのリターンを獲得する一方で、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」はマイナスのリターンとなった。この3カ月の日米英独4カ国の主要株価指数を見ると、2017年11月と2018年8月の2カ月において、英国がマイナスとなり最も軟調であった。2017年11月は、英国がEUからの離脱日時を2019年3月29日に確定する一方、英国とEUの交渉には進展が見られなかった。2018年8月には、英国とEUの交渉期限の延期観測が広がり、また、英国政府が「合意なき離脱」に備えるための文書を公表した。

 なお、2017年11月にはドイツで連立政権樹立に関する協議が決裂したほか、2018年8月にはトルコリラ安による欧州金融機関への悪影響懸念が広がるなど、欧州全体で見れば他の要因もある。ただ、Brexit関連で動きがあった際には英国株式市場が変動し、「国際株式・欧州」にも影響が及んでいる。

 EUとの間で離脱条件の「合意なし」離脱を避けられるか否かの判断期限を2019年1月21日に控える中、今後、英国議会で協定案に対する承認が得られるかが焦点となるが、与党保守党内で“メイ降ろし”が起きるとの見方も出るなど、情勢は不透明である。資金流出入の動向を見ると、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」は2018年10月まで7カ月連続で流出超過が続いているが、Brexitのヤマ場が迫る中、英国株式市場、欧州株式市場、そしてパフォーマンスと資金動向の両面で「国際株式・欧州」への影響が注目される。
提供:モーニングスター社
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