アジアの新興国相次ぎ利上げ、“バーナンキ・ショック”の教訓に学ぶなら?

 アジアの新興国が相次ぎ利上げに踏み切っている。15日にはインドネシアとフィリピンの中央銀行がいずれも政策金利を0.25%引き上げた。

 背景にあるのは通貨安に対する根強い懸念だ。国内投信市場においても、通貨安の影響からアジアを中心に新興国の株式・債券ファンドはパフォーマンスが低迷している。モーニグスターカテゴリーによる分類では、10月末時点で74カテゴリーのうち年初来リターンの下位5カテゴリーは全て新興国関連となっており、新興国単一国の株式に投資するカテゴリーである「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」は−19.23%と、“ワースト5”に落ち込んでいる。

 同カテゴリーに属するファンドを主要な国ごとに分類してみると、年初来で最も下落しているのは8月に通貨が急落したトルコで平均リターンは−42.78%とダントツだが、次いでフィリピンが−23.11%、インドネシアが−20.82%と、比較的下落率が大きい。ベトナムは−11.66%、タイは−7.24%となるなど、下落率には差が見られるものの、軒並みマイナスリターンに沈んでいる。

 直近のアジア株式のパフォーマンス悪化は米金利動向の影響を大きく受けている。「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスを月次で見ても18年1月にピークを付け、翌2月から低下基調に転じたが、そのきっかは米長期金利が2.86%と13年12月以来4年2カ月ぶりの高水準となったことだ。

 なお、過去には13年に当時のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が早期の金融緩和縮小を示唆し、米金利の大幅な上昇と新興国株式の急落が起きた“バーナンキ・ショック”があった。しかし、米長期金利は13年12月に3%の大台に乗せた後、緩和縮小観測が後退する中で15年1月の1.64%まで低下。その間、「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」のリターンは24.89%と大きく反発している。

 今回も米金利先高観が後退すればアジアを含めた新興国株式が反発する可能性もある。投資家は足元の混乱に一喜一憂するのではなく、米金利動向も視野に入れながら慎重に対応することが重要となりそうだ。
提供:モーニングスター社
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