新興国ファンドのリスクが高まる!?米トランプ大統領が利下げ要求

 新興国に投資するリスク(標準偏差)が一段と高まる可能性がある。

 米トランプ大統領が20日にFRB(米連邦準備制度理事会)に対して利下げを要求する発言を行った、と報じられた。同日の米国株安を受けての発言であるという。市場では、FRBが12月中旬のFOMC(米連邦公開市場委員会)で今年4回目の利上げを実施し、その後も19年半ばにかけて3カ月に1回の割合で緩やかな利上げを継続するとの見方が優勢だ。ただ、トランプ大統領はこれまでにもFRBの利上げ路線をけん制しており、米国株式市場の状況次第で今後、要求が強まる恐れがある。

 利上げを巡る米政権とFRBの緊張が高まった場合には、新興国市場に対する資金の動きに影響が及ぶ可能性がある。2018年の新興国通貨は概ね下落しているが、その背景には米利上げを受けた新興国市場から米国市場への資金の逆流がある。政権とFRBのせめぎ合いを受けて現行の米利上げ路線に変化が意識された際には、新興国市場のリスクが一時的に高まることも予想される。

 モーニングスターカテゴリー「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」の2018年10月までの3年間における各月末時点のリスク(過去1年間)の推移を見ると、2016年7月の22.1%から2017年12月の2.6%まで低下した後、2018年に入って上昇に転じ、2018年10月末時点は13.7%まで上昇している。「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」は2016年3月の14.8%から2017年12月の3.2%まで低下した後、2018年に入って上昇に転じ、2018年10月末時点は10.0%となっている。
提供:モーニングスター社
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